社長がお呼びです。６ (ページ44)

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翌日の金曜は、

忙しくて、
みんなちょっとイライラしてて。

「安田社長、何やってんすかね」

工藤さんは、章ちゃんが、
東京で羽を伸ばして、
サボってるって、思ってるみたいだ。

「大変なんやって、社長も」

竹本部長が、とりなしてるけど、
あんまり納得してなさそうで。

一人で商談に出かけて行った。

やっと仕事が終わったのは、
１９時過ぎ。

今から新神戸まで行って、
新幹線乗って、何時に東京に着くかな。

宿泊先のホテルは、
ホワイトボードに貼ってある。

先に連絡した方がいいよね。

そう思って携帯出した時に、

「お疲れ様あ」

いつもの週末のように、
丸山先輩が顔をのぞかせた。

もう、私しか残ってなくて、
必然的に二人きり。

ちゃんと話した方が良い？

それとも、丸山先輩の方に、
もうそんな気がないなら・・・

ごちゃごちゃ考えてたら、

丸山先輩が、苦笑いしながら、
ゆっくりと事務所に入って来た。

「どうしたん？
そんな難しい顔して」

「私、そんな怖い顔してますか」

「怖くはないけど。
迷子みたいな途方に暮れた顔してる」

私の目の前まで来て立ち止まる。

それなら、丸山先輩だって、同じ・・・

「俺のことなら気にせんでええねんで。
ちょっと色気出して横槍入れてみたけど。
所詮、運命の相手には敵わんもんなあ。
昔っから、
人の恋路を邪魔する奴は、
馬に蹴られて死んじまえ、言うぐらいやし。
友達の彼女にちょっかいかけるような、
ゲスい真似して、
死なずに済んだだけでありがたいと思わんとあかんな」

丸山先輩らしいやり方で、
私への気持ちはもう終わりにしたって、伝えに来てくれたんだ。

「丸山先輩はゲスくなんかないです。
優しいから・・・」

落ち込んでる私ほおっておけなかっただけ。