社長がお呼びです。６ (ページ33)

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部屋に入った途端に鳴り出した電話。

今はまだ話せないのに・・・

鳴り止まない音に決心が鈍りそうで、
晴子に電話かけてしまった。

「ごめんね。
重岡くんとデート中だった？」

「ううん。
大毅、仕事やねん。
あれからどうなったん？
気になっててんで」

「うん、・・・
実はね・・・」

晴子、私の話、最後まで聞いてくれて。

それだけで、なぜか、泣きたくなった。

「晴子ならどうする？」

「別れる！って言いたいとこやけど・・・
過去も含めて好きになったわけやから。
３４歳まで何にもない人なんて、
それこそ怖いし、
そこで前の奥さん、
冷たくあしらうような人も、
やっぱり嫌やし。
乗り越える、しかないかな」

「そっか・・・」

「でも辛いなら別れちゃうのもいいと思うよ。
丸山先輩が待っててくれてるわけやし。
付き合ってるうちに好きになる事ってあるんちゃう？」

好きになれるのかな。

「キス、出来なくても？」

「A・・・」

「重岡くん以外の人とキス出来る？」

「多分、無理。
酔うてたらいけるかなあ。
うーん。
１００歩譲って命の危険が迫ってたら、
可能かも」

晴子の言葉につい、吹き出してしまった。

「命の危険が迫ってるのに、キスするの？
どういう状況？」

「ストーカーに殺されそうなって、
キスしたら許してくれるとか？」

「晴子ってやっぱ面白いな」

「やろ？
今から会わへん？
Aんち、泊まりに行ってもいい？」

「うん。来て欲しい。
一人でいたら章ちゃんに会いたくなって、
困ってたんだ。
会うと流されちゃうから」

「流されてもええとは思うけど。
ま、社長さんにはお灸すえた方がいいかもね。
今日は遊ぼうよ。女子会しよ。
じゃあ、後でね」

明るい声がして、電話が切れた。