社長がお呼びです。６ (ページ25)

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「そうだったんだ・・・」

「麻美さんの通ってる病院のビルに、
インフィニティアートのお客さんの会社が入っててて、仕事で行った時に、
たまたま麻美さんを見かけて、
妊娠のことを知ったんだって。
結婚式に報告するつもりだから、
それまでは旦那さんには知らせないで、って、
頼み込まれてたらしいんだ」

昨夜の電話の内容だ・・・。

「麻美さんは、
なぜか、旦那さんには素直に甘えられないらしくて。
引け目があるみたいで・・・
心配する旦那さんの愛情に触れて、
麻美さん、すごく反省してたって。
これからは素直になれるんじゃないかな」

章ちゃんとは反対で、
渋谷さんはそっけないから、

麻美さん、
本音が分かりづらかったのかもしれないな、って・・・

でもやっぱり、気持ちは複雑。

二人が何でも言い合える仲なのに、
違いないし・・・

「Aの旦那さんは、
章大くんは、
人としても男としても、
尊敬出来る人だと思うけど。
Aは違うの？」

「違わないけど・・・」

「縁あって結婚したのに、
すれ違いで別れた奥さんを冷たくあしらうような人間なら、
お父さんは、反対する。
結婚生活は長いんだよ？
そんな人は、いつか、
きっとAにも同じ態度を取るに決まってるから」

章ちゃんの優しさは、
女を傷つけるの。

私が乗り越えられるか、どうか。

それだけだ。

「うん・・・」

「今日は、Aが混乱してるから、
連絡はしないように言っておいた。
明日、ゆっくり話すといいよ」

明日なんて、期限、短か過ぎ。

もっと時間経たないと、冷静になれない。