検索窓
今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:299,985 hit

133 ページ38

金魚すくいやるって、
真琴先輩が甘えてて、

章ちゃんが、
お金払ってるのが見えた。


工藤さんと歩いてた神山くんが振り返って、
私たちを手招きしてる。


「Aと愛理ちゃんも、
金魚すくいやる?」


神山くんに聞かれたけど、
真琴先輩の近くに行きたくない。


愛理ちゃんが、


「私、やりたいです」


勇気、振り絞ったような、
意を決してって雰囲気で答えた。


仕方なく、私もやることに。


章ちゃんがみんなの分も、
お金払おうとしてたけど、
工藤さんが先に払っちゃった。

愛理ちゃんに、
いいとこ、見せたいっぽい。

さっき、愛理ちゃんの気持ちに、
気付いちゃったせいか、
なんとなく気まずい。


真琴先輩は、
いつもは合理的でサバサバ女子なのに、
はしゃいで、きゃあきゃあ言ってる。


私も金魚をすくい始めたけど、
気持ちが入ってないせいか、

薄い紙を貼っただけの網は、
すぐに破れちゃった。


「A、下手くそ」


神山くんが私の隣にしゃがんで、
ビニールプールの中の金魚を覗き込む。


「難しいもん。
金魚、飼いたいけど・・・」


「俺が取ったるわ。
まあ、工藤さんの奢りやけどな」


神山くんが網を持って、
にこって笑った。


「Aちゃんのために、ってか。
お二人さん、ほんま仲良ええなあ。
余計に気温上がるわ」


工藤さんがからかってくる。


違う、って否定するべき?


いつもは神山くんも否定するのに。


「マジで取りたい。
頑張るからな」


そう、私に言うだけ。

これじゃ、肯定してる事になる。


章ちゃんの方、
ちらっと見たら、
やっぱり怖い顔してて・・・

本当に嫌われちゃったかも、って。


章ちゃんだって悪いくせに、
不公平だけど、

私の方が好きなんだから仕方ない。

134→←132



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (314 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
658人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:fool x他1人 | 作成日時:2018年7月18日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。