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金魚すくいやるって、
真琴先輩が甘えてて、
章ちゃんが、
お金払ってるのが見えた。
工藤さんと歩いてた神山くんが振り返って、
私たちを手招きしてる。
「Aと愛理ちゃんも、
金魚すくいやる?」
神山くんに聞かれたけど、
真琴先輩の近くに行きたくない。
愛理ちゃんが、
「私、やりたいです」
勇気、振り絞ったような、
意を決してって雰囲気で答えた。
仕方なく、私もやることに。
章ちゃんがみんなの分も、
お金払おうとしてたけど、
工藤さんが先に払っちゃった。
愛理ちゃんに、
いいとこ、見せたいっぽい。
さっき、愛理ちゃんの気持ちに、
気付いちゃったせいか、
なんとなく気まずい。
真琴先輩は、
いつもは合理的でサバサバ女子なのに、
はしゃいで、きゃあきゃあ言ってる。
私も金魚をすくい始めたけど、
気持ちが入ってないせいか、
薄い紙を貼っただけの網は、
すぐに破れちゃった。
「A、下手くそ」
神山くんが私の隣にしゃがんで、
ビニールプールの中の金魚を覗き込む。
「難しいもん。
金魚、飼いたいけど・・・」
「俺が取ったるわ。
まあ、工藤さんの奢りやけどな」
神山くんが網を持って、
にこって笑った。
「Aちゃんのために、ってか。
お二人さん、ほんま仲良ええなあ。
余計に気温上がるわ」
工藤さんがからかってくる。
違う、って否定するべき?
いつもは神山くんも否定するのに。
「マジで取りたい。
頑張るからな」
そう、私に言うだけ。
これじゃ、肯定してる事になる。
章ちゃんの方、
ちらっと見たら、
やっぱり怖い顔してて・・・
本当に嫌われちゃったかも、って。
章ちゃんだって悪いくせに、
不公平だけど、
私の方が好きなんだから仕方ない。
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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2018年7月18日 11時