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ガラスを吹くのは、
すごく難しくて緊張するけど、楽しい。
すっごく可愛いお揃いのが出来てる予感がするんだ。
「お客さん、お二人ともすごく器用ですね。
なんの仕事されてるんですか?」
指導してくれる職人のおじちゃんに、
聞かれて、ちょっと得意な気分。
「デザイナーなんですよ。
広告とか作ってるんです」
「へぇ。
通りで。
職場の先輩後輩?
社内恋愛か、いいねぇ」
ちゃんとのカップルに見られて、
私、にまにましてるかも。
作ったグラスは、
明日完成するから、
私の部屋に送ってもらうように手配してもらって、
寂しいけど、倉敷をあとにする。
三田牛のステーキレストランで夕飯。
そのお店も、
章ちゃん、予約してくれてあったんだ。
昨日のお寿司に続いて、
「こんなに美味しいお肉、食べたことない」
もう、未体験の連続。
「そんなに喜んでくれたら、
嬉しいわ。
俺が作ったんちゃうけど」
章ちゃんが冗談めかして言う。
「だって、本当に感動してる。
昨日からずっとだけど・・・」
「昨日からずっと?」
「うん。
章ちゃん、優し過ぎるから・・・」
こんなに彼氏に大切にされた事ない。
こんな優しい人がいるなんて。
社長と社員の時だって、
安田社長の人柄は分かってるつもりだった。
優しさが、眩しいぐらいだった。
ただの社員にさえ、
あんなに優しいんだから、
彼女には、
さらに、最上級の優しい彼氏になるって、
それはそうなのかもしれないけど。
「えっ・・・」
章ちゃん、私の言葉にすっごく驚いてる。
「あんまり甘やかしたら、
私、わがままになるかもよ?」
「ええよ。
Aちゃんのわがままも見てみたいわ」
余裕の答えに、
胸がまたきゅんてなる。
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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2018年7月18日 11時