店長がお呼びです。

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「そうだった。
村上店長が推薦してくれるの？
本社に」


「ああ、まあな」


「そう言えば、
なんでみんな村上店長のこと、
オーナーって呼んでたの？」

「クレープ屋の面々には、
言うてないねんけどな。
あのビルの所有者、俺やねん」


「はあ？」


やっぱしな。

鳩が豆鉄砲食らったような顔してやるわ。


「店長、嘘ついてない？
それ、ほんと？」


「嘘ついてどうするねんな」


「ふうん。
実は凄い人だったんだ。
ただのぶきっちよな、
就職先間違えた人かと思ってた」


「Aお前、言いたい放題やな」


「だって、なんかショックなんだもん・・・」


「黙ってて悪かったな」


それきり、会話途切れてもうて。

どうしたことかと、思い悩んでたら、

隣から寝息が聞こえてきた。


「なんや、眠かったんか」


あかん。

寝顔、めっちゃ可愛ええやないかい。





夜景が綺麗やて有名な港までやって来
ても、まだAは夢の中。

起こすんも、可哀想やしなあ。


「お前の喜ぶ顔、見たて。
わざわざ調べて来てんで」


思わず、ため息とひとりごとが漏れた。


Aは被せてやった、
フットサル用のバスタオルを被って、
ちっこく丸まってる。

なんちゅう、可愛い寝姿。


「無防備やな。
何されても知らんぞ」


このまま見てたら、
ほんま、俺、何しでかすか。


「て、んちょ、」


寝言？

俺のこと、呼んだよな？


「ここにおんで」


無意識に、
ほっぺたに、掌で触れてて・・・


自分の行動に怖なって。


「俺は何しとんねん。
いくら好きやからて。
こいつの気持ち、知らんのに」


慌てて車の外に出る。

夜景見ながら、
車体にもたれて、煙草吸うてたら・・・


起きたらしい、Aが車から降りて来た。


慌てて、煙草の火を消して、
携帯用の吸い殻ケース、ポケットになおす。


「起きたんか？
よう寝とったな」


「うん、あの・・・」


なんでか、顔が真っ赤っかや。


ぎゅうって抱きしめてまいたい衝動をなんとか堪えて。


「せや。
これ。
欲しかったんやろ？」


ポケット探って、
指輪の箱を差し出す。


「え・・・なんで？」


「誕生日やろ」

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