12th temptation【咬】 ページ12
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拭いきれなかった水滴が、髪の先からぽたぽたテーブルに落ちる。爆豪は規則正しい寝息を立てるAを見ながら立ち尽くしていた。
｢あ〜……えッ、おい、まじ寝か？｣
肩を軽く揺すっても反応が無い。まじ寝だ。いやもう本当に、どうしたらいいんだ？
先に寝てろと伝えたとき確かに｢わかった〜｣と返事しただろ、お前は。
｢(お、起こせるわけねェ〜〜！！)｣
行動しようにも「ヤバい」が思考の9割を占め、脳内の警告音は止まることを知らず湿ったタオルの上から頭を抱えた。
なぜ部屋に戻らずここで寝たんだ、人の気も知らないくせに。ばか、あほ、これ以上好きになってどうする。
｢うぅん｣
その時、Aが眉を寄せた。
虚ろな瞳は眦を上げて真っ直ぐに爆豪を見ている。
｢んう、おそかったねえ。髪はちゃんとドライヤーで乾かさなきゃダメだよ〜｣
言うてる場合か。これでも寝支度は速急に済ませたんだ、この短時間で眠ったAが悪い。
｢自室で寝ろや、風邪引きてェんか｣
｢やー、でもさぁ。お風呂上がりに誰も居ないって寂しいじゃない？｣
そうかもしれないが、そういうことじゃない。
胸の奥が切ないし落ち着かない。それでいて、なぜだか心地好いから茫々が過ぎる。いやまあ、好きなんだが。
｢クソッ、今日もう寝れんわ｣
｢おぉ、それゆえ落花狼藉に及ぼうって？｣
｢ちげーよ｣
｢冗〜談ッ♡｣
むにゅ、と片手でAの頰を挟む。
いたずらに笑いながら爆豪の手に細い指先を艶めかしく絡めると｢同じ石鹸の香りだね｣と顔を綻ばせた。
｢これ羽織ったらさぁ、急な睡魔がね〜……ふぁ｣
濃ゆ〜い爆豪の「正気」を纏ったジャージはAにとって十分な栄養となるらしく、摂取過多でエラーを起こしたらしい。
｢テメーは俺をおちょくり過ぎだ｣
｢あはっ、からかい甲斐のある子が好きってだけなの♡｣
Aの一声で……正確には「好き」宣言で爆豪の頬が桃色に染まる。心臓の音がうるさいので耳を塞ぎたい。
｢楽しそうで何よりだよ｣
｢うんうん、おやすみのチューでもしようか？♡｣
申し訳程度の皮肉にでさえ全力で乗っかるAに対し勝ち筋はあるのだろうか。
いいよなぁ、立場の優位な人間は。
自分は一挙手一投足に悩まされているってのに、当の本人は楽しんでやがる。あぁ、焦れったい。
｢……っ、あ、｣
｢気持ちいい？♡｣
｢んっ……、ぅ……っ、はぁ、｣
あれ、ここは何処だ？
いつの間に俺は、こんなに絆されてるんだ？
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いぎえええ - あ、神作品発見好きですっっっっ！ (12月21日 19時) (
レス) @page22 id: 7215328c99 (このIDを非表示/違反報告)
はっぴぃ - いやー!!!夢主ちゃんえろっち過ぎません!?!?(褒め言葉) (5月29日 23時) (レス) @page22 id: 057b0a6fab (このIDを非表示/違反報告)
たま - 毎日の楽しみにしてます✨いい感じにドキドキして面白いです！！ (2023年2月15日 21時) (レス) id: 4d751a3a6e (このIDを非表示/違反報告)
amo(プロフ) - くっころバクゴーありがとうございます。かなり年頃男子の気持ちの表現が上手くてスゴいなって思います。面白い、センスに満ち溢れてる作品、楽しませて貰ってます (2023年2月6日 13時) (レス) @page11 id: 451f22a787 (このIDを非表示/違反報告)
レモの仮眠室 - 何でだろ、散々擦られたネタなのに見たことない (2023年2月4日 19時) (レス) id: 7d0fba99d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あづま | 作成日時：2023年2月4日 0時
