喜多川法律事務所は今日もにぎやかです［ＡＲＳ］ (ページ33)

今日:21 hit、昨日:0 hit、合計:102,096 hit

ジャンパーの色ページ33

＿

翔ｓｉｄｅ

「意義あり！！
　重複した質問です！！」

検事が手を上げ、裁判官に異議を求めた。

「弁護人、ご意見を。」

裁判長に促され

「先ほど質問したのは
　ガード下で見かけたジャンパーの色であり、
　今質問したのは懇親会の時に
　着ていたジャンパーの色です。
　重複ではありません。」

と答えると、裁判長は検事の意義を棄却。

俺に質問を続けるように言ってきた。

「もう一度聞きます。
　この写真の赤木さんは、
　何色のジャンパーを着ていますか？」

「緑色です。」

「よく見てください。」

「緑色です！！」

望美さんの口調が苛立ってくる。

「間違いないですね？」

「間違いありません！！」

「なるほど。つまり事件当日、
　自宅付近のガード下で、
　この写真と同じ緑色の
　ジャンパーを着た
　赤木さんを目撃した。
　何度も会っているから、
　顔を見間違えるはずはない。
　これで合っていますか？」

俺のこの質問に、望美さんも苛立つ口調で間違いないと言った。

「裁判長、
　ここで証人の供述を明確にするために、
　弁護人請求証拠第20号証の
　ビデオを再生したいのですが、
　よろしいでしょうか？」

裁判長の許可も下り、Aにパソコンを操作してもらって、映像を出す。

法廷のモニターに実験を撮影した映像が映し出された。

そこには『塙望美』という札を下げたAと、『赤木義男』という札を下げた雅紀が映し出されている。

雅紀は事件当日、赤木さんが身に着けていたとされる緑色のジャンパーを着て、帽子を被っていた。

実験映像が流れ、２人がすれ違う。

そこでAが『赤木さん』と声を掛けると、雅紀が振り返る。

「ここで止めて。」

俺の一声で、一旦映像が止められる。

＿