第百八十八話 ページ39
先生からの告白から早数週間。ちなみに照れくさいので詳しい話は割愛で。正式的に付き合ってますということだけ。もちろん、隠れてだけど。
あれから特に何か特出したイベントが起きたわけでもなく、授業のノートを取りながらふと窓のほうに意識を取られるような、ごくごく平々凡々の日常を過ごした。
「奏音ー……暇ぁ、」
「ちゃんとその本に集中してたら暇じゃなくなるはずだよ」
千佳のこぼした文句を聞き流しながら、私は参考書の問題をノートに写した。
私の隣では和樹くんが私と同じようにテスト対策用の参考書を睨んでるし、千佳の隣、私の斜め前方で樹も英語の小説を読んでいる。
ここは英語部に宛がわれた部室で、現在は部活時間。
あの樹が、一応児童用に簡易化された英語を使用しているとはいえ、黙々と英語の小説を読んでるとは少し、いやかなり意外だ。ちなみに小説自体はかの有名なハリポ〇だけど。
「おー、精が出るなお前ら」
がらりと引き戸が引かれ、先生が室内へと足を踏み入れる。私たちはそれぞれ本を置き、先生への挨拶をそれぞれ口にした。
先生は短く「おう」と返事をしてから、私と和樹くんのもとへと歩み寄って上から覗き込んでくる。
「どうだ、二人とも。わかんないとこあるか?」
「私は今のところ大丈夫です」
「あ、俺ちょっと質問があって。ここって選択肢がBって言われたんですけど、なんでAじゃダメなんですか?」
「どれどれ、」
こういうところ本当に先生だよなぁってしみじみ思う。別に忘れてるわけでもないのになんでか毎度毎度思い知らされてしまう。
先生が威厳なさすぎるせいだろうな、間違いない。
「……今なんか猛烈にお前に腹立ったんだけど、お前なんか失礼なこと考えなかったか?」
「先生は教師やめて超能力者でも目指したほうが、いたたった」
大きな手で頭蓋骨を割る勢いで頭を鷲掴みにされ、私は悲鳴をあげながら先生の手をほどこうとする。絶妙な力加減がされてるから本当憎めないな、この人は。
「笹塚先生って本当委員長と仲良しですよね」
「からかいがあるんだよこいつ。で、なんでBか納得いったか?」
「はい、もう大丈夫です」
ようやく解放されたので涙目を拭いながら、私は再び問題に取り掛かる。
「お前ら二人とも、SAT受けるつもりなのか?」
SATとは、大学進学適性試験のことだ。アメリカの大学入学時に必須な試験である。
「俺一応AO視野に入れてて」
「私は留学です。先生の母校受けようかなーって」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです!幸せだと言ってもらえることこそが幸せです!本当に励みになります!本当にありがとうございます!! (2022年2月5日 23時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました!!!めちゃくちゃドキドキしてます!!素敵なものが読めて幸せです! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ!!!!!うれしい!!!!!!更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜!! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます!亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…!応援、励みになります! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます!一気読みしちゃいました!更新頑張ってください! (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月19日 17時