第百八十六話 ページ37
そんなに不安にさせてしまったのか。ぽんぽん、と先生の背中を叩いて慰めれば、ゆっくりと先生の腕の力が緩み私は解放された。
改めて見えた先生の顔は泣いてはいなかったけれど、目尻がほんの少し赤い。親指でその目尻を撫でてやれば、先生はぴくりと反応してから目を瞑った。
……大きい猫みたい。
「……ライオン」
「あ゛？」
しまった、声に出てしまった。まぁわざとだけど。
気に食わなかったらしい先生は閉じていた目をばっちり開いて、不快気にこちらを見てくる。
「ふふ、先生可愛い」
「……上等じゃねーか」
いまだに先生の顔に添えていた私の両手をぐっと握られ、軽々と先生の右手にまとめて拘束される。
あれ、なんかデジャヴ。
内心あわてているのを顔に出さないように、努めて真顔を保つ。ゆっくりと顔を上げ、目の前の先生を見つめる。怪し気に細められたその目は、知ってる。それが何を意味するのかも、知ってる。
じり、と無意識に逃げ腰になってしまったそんな私の腰に先生は空いていた左手を回し、軽々と私の体を再び抱き寄せる。
ぐっと近づいた距離、ぎゅっと触れ合う二人の体で、私の心臓はまた早鐘を打つ。
「……やだぁ」
「お前に拒否権なんてないんだよ。おら、大人しくしてろ」
口先だけの拒絶だとわかっているのだろう、先生はご機嫌な笑顔を浮かべて私の額にキスを落とす。
あぁ恥ずかしい。死ぬほど恥ずかしい、けれど、離れてほしくはない。
まったく、いつから私はこんなに大胆になってしまったのだろうか。
少し前の私だったら、すぐに逃げだしていたのに。今は、もっと、なんて貪欲になってしまう。
そんな自分が恥ずかしくて、浅ましくて、だけど全然嫌いになれなくて。きっと、いや絶対、全部先生のせいだ。
私は、力を抜いて先生に体を預けた。
目の前で見開かれる先生の瞳。そんな間抜け面は、やっぱり可愛くて少しだけ笑ってしまう。
「……目、瞑れ」
そう言いながら、先生の左手が私のあごにかけられる。
言われた通りに目を瞑る。少しだけ手の内が汗ばむ。先生が次にしようとしていることがわかってしまったから。
ふ、と先生がかすかに笑った音が聞こえる。吐息が、頬にかかる。それだけの距離感。
あ、なんて思ったときにはもうちょっと遅くて、
触れ合った唇は、ちゅ、と軽い音をたてて離れた。
閉じてていた目を開いて、先生を見る。少しだけ赤らめた顔も、私を見下ろしていて。
恥ずかしくて、やっぱり顔を逸らしてしまった。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです！幸せだと言ってもらえることこそが幸せです！本当に励みになります！本当にありがとうございます！！ (2022年2月5日 23時) (
レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました！！！めちゃくちゃドキドキしてます！！素敵なものが読めて幸せです！ (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ！！！！！うれしい！！！！！！更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜！！ (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます！亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…！応援、励みになります！ (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます！一気読みしちゃいました！更新頑張ってください！ (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月19日 17時
