第百七十九話 ページ30
逃げやかったな、という視線をひしひし背中に感じながら、「どうしたのー？」と聞いてくる千佳に誤魔化しながら私は今から始まるイベントへ注意を向けた。
続々と人が集まり始めて、ついに開始時間になってマイクを持った先生の一人が部屋の前に立つ。
「このイベントが秘密にされていたのは、お前らが必要以上にそれに意識を向けすぎてほかのことがおろそかになるかもしれないと危惧したからだ」
そう先生は切り出した。
そこまで言うってことは、そんなに面白いイベントなのだろうか。
「実はこれは先生も途中まで気づかなくてな、だが笹塚先生が京都について調べているときに見つけたもので、急遽イベントに組み込まれることになったんだ」
先生の名前が出た途端、わっと生徒から短く歓声が漏れる。相変わらずの人気。
にしても先生らしいな、なんて少しだけ思ってしまった。沢山京都について調べたんだろうなぁ。
「実は今夜は、ちょうどこの近くの神社が秋祭りをやっている。規模は小さいが、火祭りも行われるので見ごたえはあるだろう。今からみんなでそこに移動して、そこから自由行動だ。11時には入り口の鳥居に集合しているように。全員がいることを確認次第、旅館に帰って来るぞ」
先生の言っている内容が理解できたと同時に、みんなの興奮がうなぎのぼりになる。
うおおお、と雄たけびをあげている生徒もいて、少しだけ引いてしまったが私も心が躍るのを抑えられないでいる。
秘密にされていた行事は、近くの神社で催される夜の秋祭り。そんなサプライズ、そりゃほかのことがおろそかになってしまうかもしれない。楽しみすぎて。
「笹塚先生ナイスー！」
「さっすが先生だわ！」
浮足立つ生徒たちは、口々に先生を褒めながら我先に神社へと向かおうとする。
何十人の生徒がぞろぞろと歩いてたどり着いた神社は、すでに人で賑わっていた。浴衣を着ている親子やカップルがまぶしくて、制服を着ている自分たちが少しだけ場違いだと思ってしまって。
でもそれも全部どうでもよくなるくらい、提灯の明かりが私たちの足取りを軽くしてくれた。
「すごいね、千佳！ 私、修学旅行がこんなに楽しくなるとは思わなかった！」
「本当にね！ それに、奏音が元気になってよかった」
「……へ」
千佳の言葉に振り返れば、灯篭の明かりに照らされて温かい微笑みを浮かべた千佳が私を見ていた。
「奏音はわかりやすいから、全部わかっちゃうよ」
「……千佳、」
「先生とのことも、ね」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです！幸せだと言ってもらえることこそが幸せです！本当に励みになります！本当にありがとうございます！！ (2022年2月5日 23時) (
レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました！！！めちゃくちゃドキドキしてます！！素敵なものが読めて幸せです！ (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ！！！！！うれしい！！！！！！更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜！！ (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます！亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…！応援、励みになります！ (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます！一気読みしちゃいました！更新頑張ってください！ (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年5月19日 17時
