第百七十七話 ページ28
にたぁ、と笑うベラさんは、そのままよっこいせと窓から部屋の中へと入ってくる。なんて豪快な人なんだ。
その隙に私は部屋の明かりをつけておいた。
「拓虎ー、犯罪だよぉ?」
「……うるせぇ」
ばつが悪そうに私を解放し、居心地悪そうに佇まいを直す先生。
私もあわてて少しだけ乱れてしまった身だしなみを直しながら、改めてベラさんを見上げる。いつの間にやらベラさんは私たちのすぐそばまで歩いてきてて、にっこりと笑みを浮かべながら私を見下ろしていた。
「なんでここにいるんだよ……」
「昨日、連絡先交換するの忘れてて。みんなで同窓会したいって話出てたから、聞いとこうかなーって探してたの、拓虎のこと。ここに向かうのを見たってツインテールの可愛い子に聞いたけど、まさか生徒に言い寄ってるとはねぇ」
「……」
ツイン……千佳だ。見られていたのか。
思わず恥ずかしくなって俯き、自分の足元を見る。そんな私の頭を撫でる手があって、見上げてみればそれは先生じゃなくてベラさんだった。
「なるほどね、拓虎のタイプってこんな感じだったんだー」
「おい、ベラ、ちょっかい出すな」
「昨日もそんなこと言って私から避けようとしたじゃん。大事にしすぎじゃない?」
顔をあげて先生を見てみれば、顔を逸らしていた。
「奏音ちゃん、安心して。こいつは私に興味ないし、私はもう結婚してるからこいつとどうにかなることは絶対ないよ」
「事実だがそう言われると腹立つな」
「こいつこんな見た目だからね、馬鹿みたいにモテてたけど多分付き合ったの二人とかだっけ? しかも別れるのだってこいつがフラれてたから!」
わは、って笑いながら両手を叩くベラさん。美人だからそんな彼女も様になってる。
ぽかんとした私を置いてくように、ベラさんは言葉を続ける。
「私馴れ馴れしかったよね、不安にさせてごめんねー」
「あ、い、いえ」
「こいつ言葉足りないからこれから大変だと思うけど、面倒見てやってね。奏音ちゃん可愛いししっかりしてるから大丈夫だよ。連絡先交換しよー?」
「あっはい!」
「おい」
慌てて先生が止めようとするけど、それより早く私が出したスマホをベラさんがとり、先生を無視して操作を始める。
その隙に先生を見れば、すごく嫌そうな顔をしていた。
「……嫌でしたか?」
「ん? あぁ、いや……ベラはあることないこと騒ぎ立てる愉快犯の問題行動常習犯だったからな。お前巻き込んでいろいろやらないか心配で」
「あぁ、そういう」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです!幸せだと言ってもらえることこそが幸せです!本当に励みになります!本当にありがとうございます!! (2022年2月5日 23時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました!!!めちゃくちゃドキドキしてます!!素敵なものが読めて幸せです! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ!!!!!うれしい!!!!!!更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜!! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます!亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…!応援、励みになります! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます!一気読みしちゃいました!更新頑張ってください! (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月19日 17時