第百八十二話 ページ33
「ごめーん奏音、お待たせ……ってあれ、なんで床に座り込んでるの?」
「……腰抜けた」
しゃがんだまま両手で顔を覆う。もう力が抜けてしまう。
なんであの人はなすことなすこと全部イケメンなんだろう。顔が格好いいだけじゃ物足りないんですかね?意味が分からないよ。
「……意味が分からないよぉ、千佳ぁ……」
「またたっくん先生案件?」
「ねぇ教えて、どこまでバレバレなの?」
「割とわかりやすいんだよね、奏音って。自覚ないの?」
多分ないと思う。
一応ポーカーフェイスには自信あるつもりだったからね。
「おー、姉御に知崎!」
「あ、樹に和樹くん。楽しんでるー?」
「おう! 一緒に回ろうぜ!」
「ぜひぜひー!」
明日にはもう、修学旅行を終えて帰らなければいけない。
こうやって大事な友達と過ごす時間も、どんどん少なくなってくる。名残惜しいな、と思いながら、私たちはみんなの後を追いかけた。
そしてお腹いっぱい食べて、火祭りを見て、私たちは修学旅行最終日をつつがなく、そして笑顔で終えた。
翌日私たちは荷物を片付け、新幹線に乗り込む。
「長かったようで短かったなぁ」
「でも楽しかったね」
そう千佳に返事すると、千佳は満面の笑みで「うん!」と返事をしてくれた。
よかった、私が楽しかった分だけ大切な人が楽しそうにしているだけで、嬉しい。つい私も頬が綻んでしまって、ふふふ、と意味もなく笑いがこぼれてしまう。
ふとその時、スマホが振動してメッセージが来たことを伝える。
特に何も考えずそれを確認すれば、「会長」の二文字。右スワイプして内容を見てみる。
「来週月曜の放課後、時間ある? お土産渡したいのと、ちょっと話があって」
そんなメッセージ。
さてどうしようか、と考えてから別に悩む必要もないかとオッケーを告げるために指を動かす。
「『いいよ』……何がいいんだ? 邦月」
「ふひゃあ!? ……先生!」
いつの間にか私の画面をのぞき込んでいた先生は、私の書きかけの返事を読み上げる。
その声音には当たり前のように怒りが含まれていて、私の背中に冷たい汗が伝う。
「……どうやら、俺の言葉だけじゃ足りなかったらしいなぁ?」
ぼそり、と耳元で先生はそうつぶやく。
「プライバシー侵害するのやめてください! ……会って話すだけですよ」
「それだけで済むわけねーだろうが」
「どれだけ信用されてないんですか、私。ちゃんと先生のとこに帰ってきますよ」
「……お前、無自覚にそういう爆弾落とすのな」
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ステラさん» うわー嬉しいです!幸せだと言ってもらえることこそが幸せです!本当に励みになります!本当にありがとうございます!! (2022年2月5日 23時) (レス) id: 5d704cea99 (このIDを非表示/違反報告)
ステラ - 面白すぎて最近読み始めたのにもうここまできちゃいました!!!めちゃくちゃドキドキしてます!!素敵なものが読めて幸せです! (2022年2月2日 23時) (レス) id: 3475edfef8 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 彩華さん» ツボ!!!!!うれしい!!!!!!更新遅くて本当に申し訳ございません。励みになります。頑張って更新します〜!! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - Amamiyaさん» ありがとうございます!亀更新にもほどがありますが、完結させず放置することは絶対ございませんので、たまに覗きにきてやってください…!応援、励みになります! (2021年11月20日 18時) (レス) id: aebfacbb01 (このIDを非表示/違反報告)
彩華 - やばい。ツボすぎます!一気読みしちゃいました!更新頑張ってください! (2021年4月1日 22時) (レス) id: da4daeacca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2019年5月19日 17時