第百四十八話 ページ49
む、と頬を膨らませた私は姉を放置してあたりを歩き始めた。狭いステージの上ではあまり徘徊するスペースもないので、数歩歩いたところで立ち止まる。
はぁ、と憂鬱そうにため息をついてから、大袈裟なくらいに振り返り姉を見る。相変わらずつまらなそうな本を読んで、うつむいている姉。
そんな時、視界の隅っこに何かが映った。
白い衣装とウサギ耳をつけたクラスメイトの一人だ。
「あぁ大変だ大変だ、遅刻だ遅刻だ！」
心底焦ったようにしゃべるそんな彼に、私は首をかしげる。
「ウサギが、喋った？」
「あぁ、あぁ！ 怒られてしまう。急がないと！」
「確かに、喋ってる……嫌だ、何なのかしら、あのウサギは」
気味が悪そうに肩をすくめて、私は姉のもとへ戻ろうと駆けだした。
けれど、
「どこ行くんだ、アリス！ 君が来てくれないと困るよ！」
「え……っ！？」
ぐい、と腕を引かれて私は立ちすくむ。
だけど抗う暇もないまま、ウサギの彼はぐいぐいと私を引っ張り木々の影へと連れ込もうとする。
「な、何？ 離して……！ 姉様！」
だけど私の声に姉は気づかない。本の世界に没頭しているかのように、彼女はじっと本を読んでいる。ぺらりと彼女の手によって捲られたページ。
それが皮切りのように、私の体はいとも簡単に白ウサギに引っ張り込まれてしまった。
「さぁ、行こう！」
「何を、きゃああ！」
古い井戸のふちに私を立たせた白ウサギは、思い切り私の背中を押す。
バランスを崩した私は当然、井戸の中へとその身を落としていく――ように観客には見えるだろう。敷いてあるクッションに飛び込むだけなんだけど。
すぐにカーテンの裏に隠れて、一端カーテンが降りて幕を閉じる。急いで裏方の人たちが出て小道具などを森のそれから不思議の国のそれへと入れ替える。
幕が上がったら、私は床に座り込んだ状態でスタート。
「いたたた……なん、なの、ここは……？」
「さぁ、座り込んでいる暇はないよアリス！ あの方がお待ちだ！」
「きゃあっ、あなたは一体何なの！？ さっきから、不快よ！」
再度私の腕をつかんできた白ウサギの手を振り払い、私はきっと相手を睨む。
だけど白ウサギはだるそうに首を振るだけだった。
「あぁ面倒くさいなぁ、そういうのはいらないんだよ。いいから早く来ないと君が後悔するよ？」
「意味わからないんだけど！ いいから私を返して。ここはどこ？」
「ここは不思議の国。君がいるべき世界さ」
「はぁ？」
不快そうに白ウサギは続けた。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
