第百四話 ページ5
「……すげぇお母さんだな」
「……伊達にバリキャリビジネスウーマンやってないよ」
まぁ、あれが誇りだし目標なんだけどね、と母が出て行った扉を見つめ目を細める。
ふと扉のすぐ隣に飾ってある時計に気づき、そちらに目をやってからびくりと体を躍らせた。二本の針は下に向いている。右か左かでいえば左だ。
「ちょっ、みんなこんなに遅くまでいて大丈夫！？」
「あ、そういえばもうすぐ八時だ」
「そろそろ帰るか？ 別に俺の母さんは気にしねーから別にいいんだけど」
「私はそろそろかなぁ」
千佳の両親も共働きだけど、確か九時くらいには帰ってくるはずだ。私は三人に帰りを促した。
「じゃあ俺ら今日は帰るな、また明日見舞いに来るから！」
「わざわざありがとうね、またね」
「また明日ね、奏音ー！」
ぶんぶん、と元気よく手を振ってから千佳は樹たちと扉の向こうへと姿を消した。
そうやって部屋に残ったのは、私と彼の二人だけ。ほかの三つのベッドは都合よく全部空いている。だから、この部屋にいるのは私と彼の二人だけなんだ。
「……私、いつも情けないところ見られてますよね」
「お前がしっかりしてるところ見たこともない気がするが？」
「……先生の前でだけは何故かこんがらがるんです。きっと疫病神なんですよ」
それを聞くと、先生は笑いながらそばに置いてあったパイプ椅子に腰かけた。不快感なんて全くなくて、私はつられてゆったりと笑う。
この人のそばにいると落ち着いて呼吸ができる。
「ちゃんとしっかりもするんですよ」
「知ってるよ、じゃなきゃ委員長になんて選ばれないだろ」
「助けてくれてありがとうございます」
「あぁ、それは感謝しろ。末代まで感謝しろ」
「大袈裟すぎじゃないですか、それは」
本当に他愛もない話をして、時間が過ぎていく。手を口元に持ってきて笑いを隠せば、先生も肩を震わせ笑っている。
小さなことが幸せだって思えるくらいには、きっと私はこの人のこと――
「そういや、遊園地」
「……あぁ」
「結局先延ばしになったな……期限いつまでだ？」
「わかんないです……すぎちゃってたらやだなぁ」
「過ぎてたら、退院祝いに映画にでも連れてってやるよ」
「じゃあ過ぎてたって嘘つくことにします」
「それは卑怯だろ」
からかい合って冗談を言い合って、笑い合う。
そして面会時間終了を知らせるアナウンスが流れた。あぁ、時間っていうのはいつもこうだ。
「明日も来る」
「待ってます」
明日も貴方に会いたい。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
