第百三十一話 ページ32
「っあぁああカワウソ可愛いカワウソ!」
「なんだこの鳴き声、ウケ狙ってんのか可愛いじゃねぇか」
柵の上に腕を預けながら私たちは肩を並べてコロリと転がっていくカワウソを見て楽しんでいる。
さすが週末といったところか、動物公園は人で賑わっていてあたりを見渡せば人人人だ。
今も私たちの後ろで家族づれが騒いでいる。わーきゃーと騒ぐ子供たちの声が、さんさんと降り注ぐ太陽光となんともマッチしていてなんだか気分が浮かれてしまう。
「っていうか先生よく食べますね」
「神が俺たちの足と口を別々に作ったのには理由があると思うんだ」
「食べ歩きですか」
「そういうことだ。よくわかってるな」
さっきからあちこちで食べている先生は、今現在ソフトクリームを食べている。チョコソースがけのちょっと美味しそうなやつだ。ちなみに私はブルーベリーソースがけ。
こういうところの食べ物って外に比べて明らかに値段が違うけど、その分美味しい気がする。気がするだけ。
「あ、あれお前にめちゃくちゃ似てね?」
「このアイス先生の額にぶつけてユニコーンにしてあげましょうか?」
そう先生が指差す先にあるのは猿だ。説明書きによればマンドリル。
猿としてはどうなのかわからないけど、人として例えるならとても不細工である。みんなも興味があったらググってみるといいけど、女の子を表すのには少しブサイクすぎる。
「お前、呼び名どうにかしろよ」
ひそ、と先生が何気なく囁いてくる。
「え?」
「先生、って呼ばれっと周りに変な目で見られるだろ」
「じゃあなんて呼べば」
あれ、これってもしかしてすごく恥ずかしくなる流れではないだろうか。
「しらねぇよ、苗字とかか?」
「笹塚……さん」
「……おう」
先生も気づいたのだろう、返答が尻すぼみだ。
だが確かに先生、先生と呼んでいるとほかの人たちから関係を勘繰られてしまう。ただでさえあまり純粋とはいえない状況にいるのだから。
「そろそろ水族館に向かうか、ぐるっと一周回るころにはちょうどイルカショーが始まる」
「いいですね、それ!」
ちなみに先生はとても計画的である。
パンフレットを読んでからのぶっつけだったけれど、今のところ完璧だ。
イルカショー楽しみすぎる。
道中にポップコーンスタンドがあって、先生はもちろんそれも購入した。高給取りか?
「ほら」
「……え、むぐ。あ、……おいしい」
先生が唇に押し付けてきたポップコーンはチェダーチーズ味でした。
196人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます!これからもバンバン頑張ります!一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします!! (2019年5月11日 19時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです!一気に読んだんですけどすっごい楽しいです!これからも頑張ってください! (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー!ありがとうございます!そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます! (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください(切実)めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください!!! (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます(泣)尊敬に値するようにもっと文才磨きます!ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます! (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年6月25日 13時