第百二十七話 ページ28
別の味の炭酸飲料を持って部屋に戻る。ドアを開けた途端に耳をつんざくような音楽と、するりと耳に入ってくる美声。
よくよく見てみれば、先生が歌っているじゃないか。しかも有名なバンドの曲。
うわぁ、歌までうまいのか。もう本当に地道に努力を重ねている人間たちへの皮肉だなぁ。神様の反撃かな？
遠い目をしながらぼすりと私の定位置に腰かける。
ライブ会場並の黄色い声援に包まれながら樹たちと合唱している先生は至極楽しそうだ。
暗い部屋に光るミラーボールの光がふと私の目を差して、思わず瞼をつむってしまう。まぶしいなぁ。何が、とは言わないけど。
ず、と炭酸飲料を飲むと冷たい液体が喉を走り、炭酸が少しだけ喉を傷める。カラン、と氷がぶつかり合って風鈴のような音が聞こえた気がしたけど、爆音にかき消されてしまった。
「邦月！ 次の女性パートお前な！」
「……は！？」
「おぉお！ 姉御ー！」
ノリのいい面子が私にマイクを渡しては、私を舞台のほうへと引っ張る。
少しだけ抗ってみるが、テンションが上がっている彼らの好意を無下にはできないし押しには弱い。だからこそ委員長なんてものをやっているのだ。
しぶしぶ私は先生の隣に並ぶ。間奏が流れているため私にはまだ心の準備をする余裕があるらしい。
「お前らも委員長の歌声聞きたいよなー」
「うぇーい！」
「期待するような歌声はないんだけど……」
マイクを握りしめながらうつむき気味に、同時に恨めし気につぶやく。
だがそれもかき消されて、しぶしぶ私はマイクを構えて歌詞を待った。深く息を吸う。
歌詞を口ずさむ。自信がなくて声は控えめだけど、それでもみんなは盛り上がってくれた。
ふ、と隣で影が動く。横目で其方を見ると同時に、きれいなハモりが入ってきた。
あぁまじかぁ、だなんて思いながらあわてて目を逸らす。にやりと笑う彼の顔が脳裏に浮かぶ。きっと得意げな顔なのだろう。
高音を私、低音を彼が歌う。すごくきれいな声だ。自然と私の声も張りあがってくる。
楽しいだなんて、この私が。
広がる笑みを抑えきれず、歌い終わるころには笑顔のまま息を切らしていた。
「委員長可愛かったー！」
「先生ハモりめっちゃうまくね！？」
「委員長の声とめっちゃ合う！」
歌はそれほどうまくない、得意じゃないから。
それに、先生と比べてしまえば私の歌声なんてかすんでしまう。
それでもクラスメイトのみんなは楽しんでくれたようで。そして私自身も楽しくて。
思わず笑ってしまった。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
