第百二十四話 ページ25
気づけば点差はどんどん開かれて行った。
疲弊して行く他の先生とは反比例するかのように、笹塚先生は汗を少しかいているくらいか。
踊るように、魅せられるように進んでいくゲームは、もはや彼の独壇場。
「体育の先生、立場ないな……」
和樹くんの言葉に苦笑を返す。体育の先生だから全てのスポーツに万能であれという圧力をかけるつもりはないが、あまりにもうちらの先生が容易くやってのけるものだから体育の先生が弱いかのような錯覚を覚えてしまうのだ。
「こうなると俺的にはサッカーをやってる先生も見てみてぇなぁ」
「今度誘ったら付き合ってくれると思う？」
少し興奮した声で後ろのサッカー馬鹿二人がいう。
そんな話をしているうちに、残り時間は1分を切ろうとしている。ボールは生活指導の先生が持っていて、今にもシュートしようとしている。せめて一点でも取ろうとしているのか。
この間彼にしつこく怒られたことを実は根に持っている私は、両手をそれぞれ口の端に持っていく。
「せんせい、いけー！」
笹塚先生の瞳が少しだけ細められたかと思えば先生はその場に屈む。そしてバネと勢いをうまく利用して、かなり高く跳んだ。
ばしっ、というどこか虚しい音と共に生活指導の先生がシュートしたボールを空中で叩き落とす。
「っ、ぁ」
わぁああっと歓声が体育館を振動させる。
ドクンドクンと自分の心臓がまるで耳の隣に移動したかのようなうるささに、ぎゅうと胸元のシャツを握る。格好良すぎる、格好良すぎる、格好良すぎる。
ホイッスルが鳴り響き、教師対抗のバスケは笹塚先生のチームの圧勝で終わった。
こちらに歩いてくる先生を待つように、その場に座ったまま動かない。
やがてすぐ目の前で立ち止まった先生を見上げれば、やっぱり勝ち誇った笑みを浮かべていた。
「どうだった？」
「……悔しいけど、格好良かったです」
「おう、素直じゃねぇか」
くく、と小さく彼は愉快そうに笑った。
そして私の持っていたタオルを奪うように取って、自分の汗をぬぐい始める。え、ちょ、
「先生それ私のタオルなんですけど……」
「ケチくさいこと言うな、減るもんじゃないし」
「私の中で何かが減りそうなんですけど……」
羞恥で。
「なんで？ いいかおりするけど」
「か、ぐ、な！！」
かっと顔に朱が走りタオルを奪い返そうとするが、身長差と腕の長さでいまいち届かない。
私が足掻いている隙に汗を拭き終えた先生は、ばさりと私の顔面にタオルを投げて返した。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
