第百話 ページ1
「奏音ー！！」
先生におぶられた私を見た瞬間に、千佳はその大きな瞳からぶわりと大粒の涙をこぼした。私の名を大声で呼ぶその口は震えていて、本当に心配してくれたんだと少しだけ嬉しく思った。
そんな千佳の声を聞いて、周りの視線がこちらを向く。
すでに帰宅の準備を始めているようでみんなバックパックを背負って列を成していた。
あわててこちらに駆け寄ってくる千佳は、私の生傷を見て息をのみ、またさらに大粒の涙を嗚咽とともにこぼす。そんな彼女のすぐ後に和樹くんと樹が駆け寄ってきてくれた。
「委員長！ 俺たち……その、ごめん……本当に……！」
「本当に馬鹿なことした、姉御にこんな傷追わせるなんて……」
悔しさと反省を体いっぱいに表現してくる二人に、私は思わず笑みをこぼす。
先生におんぶされたままでは格好もつかないが、私は努めて明るい声を出して二人を励ました。
「あの道を選んだのは満場一致の結果。和樹くんなんて、反対していたのを私たちが押し切ったんだから私にも責任がある。それよりも、班長としてこの事態を事前に止めることができなかった私に一番の責任がある」
それだけを一息に言い切ると、私は目の前の先生の肩を左手でとんとんと叩いた。そしておろしてもらうようにお願いする。
先生は私の傷に響かないようにゆっくりと地面に膝をつき、私を下ろしてくれた。
先生の腕の隙間から足をゆっくり抜き出し、地面についた両足に全体重をかける。雷撃にあたったような痛みに呼吸が止まり、喉がひきつったような悲鳴をこぼし顔をしかめた。
だけど先生の助けをやんわりと断り、ちゃんと二本の足だけで立つ。
「この度は私の軽率な判断と行動で皆様にこのような迷惑をかけることになってしまい、本当にすみませんでした。罰則は甘んじて受けますが、このような形でイベントが中断になってしまったことをこれ以上ないほどに申し訳なくなっております」
頭を下げられるだけ下げる。
心から申し訳ないと、そう思っていることを全身で示すしか私には術がない。千佳たちも私の後ろで頭を下げたのを気配で感じ取る。
4人の生徒たちが深々と頭を下げるさまを見て、生徒たちがざわめき始める。だけど誰も私たちを肯定することも、否定することもなかった。
「……お前らには反省文はもちろん、しかるべき罰則を後で受けてもらう。とりあえず今日はこれで解散。各自、気を付けて帰るように！」
教頭のそんな声に、長かった一日が終わりを告げた。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - みっちゃんさん» ありがとうございます！これからもバンバン頑張ります！一気に読んでくださってうれしい…これからも何卒よろしくお願いいたします！！ (2019年5月11日 19時) (
レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - このお話大好きです！一気に読んだんですけどすっごい楽しいです！これからも頑張ってください！ (2019年4月4日 2時) (レス) id: b4edfa4067 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - あだ名がンゴって…さん» うわー！ありがとうございます！そういっていただけただけですごくうれしいです。コメント励みになります。これからも頑張らせていただきます！ (2019年4月1日 21時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
あだ名がンゴって… - 初コメ失礼します。あなたの文才、ください（切実）めっっっっちゃ好きですもうなんなんですか大好きです。更新頑張ってください！！！ (2019年3月31日 11時) (レス) id: d0cbd630d9 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - セツナさん» うっありがとうございます（泣）尊敬に値するようにもっと文才磨きます！ゆっくり亀さんに呪われていますが頑張って更新させていただきます！ (2019年1月9日 22時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月25日 13時
