【2】サド教師とツンデレ生徒【名前変換オリジナル】

第五十九話 ページ10

「こないだぶりだな。 ろくに話さないなぁ俺ら」
「そうですね。 まぁ、生徒会長とクラス委員長ってだけで直接何か接点があるわけでもないですし……」
「そんな悲しいことを言うなよ」

私が資料を定位置に置きながら冗談めかして言うと、会長は困ったように笑いながら答える。
まぁ冗談だけど、あながち嘘でもないわけだ。
私なんて他の委員長と比べたら何倍も会長と仲が良いと思う。
まぁ大っぴらに言えないけどね、副会長怖いし。

「そう言えば、今日はおひとりですか？」
「あぁ。 資料を取りに来たんだけど見つからなくて……」
「どれですか？差し支えなければ手伝いますよ」
「え、いいのか？授業始まるけど」
「授業開始1分前に雑用押し付ける現国教師が悪いです。 次の授業もその先生ですし、問題ないと思います」

そう淀みなくすらすらと言ってしまえば、会長はそっかと笑ってから私に一枚のメモを見せてきた。
そこには「去年の遠足の概要」という走り書きがされてあった。
おそらくこれが、会長の言う探している資料なのだろう。

それにしっかり目を通してから、私はいったん資料室に目を走らせた。
もともとはしっかりと整理されていたはずの資料室も、何年も放置すればこの荒れようにもなるだろう。

「……資料室って、びっくりするほど汚いですもんね」
「それに埃っぽいし。 あ、邦月さんって埃とか大丈夫？」
「子供の頃にアレルギーあったっぽいですけど今は不明です。 今は何の反応もないんで大丈夫じゃないですかね」

そんな適当な、と苦笑する会長は談笑しながらもしっかり複数の資料に同時に目を通してる。
……なんか出来る男のテンプレ！って感じだな。
なんというか、とても格好いいし。まぁ、言わないけど。

「あ、思ったんだけど」

私が手近にあった未確認の資料に手を付けようとした丁度その時に、会長が声をかけてきた。
資料を手に取りパラパラと捲りながら、私は会長を見ずに答えた。

「はい、どうしたんですか？」
「なんで邦月さんっていつも敬語なの？」

資料を捲る手が思わず止まってしまう。
おそらく私の今の表情はこれほどないまでにきょとんとしていると思う。
まさか、そんな質問をされるとは思わなかった。

「なんでって……会長、ですし？」
「いいよいいよ、タメでいいじゃん」

うーん、そういうとこを考えたことはなかった。
強いて言うならタメだと親近感湧いて副会長に狙われるってとこだろうか。

「俺はタメがいい」

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