第五十七話 ページ8
「……千佳、助けてほしいんだけど」
学校に登校すると同時に私はそう訴えかける。
そんな私の訴えを真正面に受け止めた千佳はきょとんと眼を瞬かせた。
「……珍しーね、奏音。 どうしたの?」
「千佳にしか頼めないことがあるんだけど……さぁ」
億劫な顔を隠そうともせず私は千佳の前の席に腰掛ける。
千佳の前の席の人ごめんね、ちょっと椅子借りるよ。
千佳の机にぐでっと潰れながら私はゆっくりと言葉を紡ぐ。
本当にこれは千佳にしか頼めないことだ。
それに、千佳ならきっとこれにだけはちゃんとしたアドバイスをくれるはず。
……だから。
「……男の人とお出かけする時って、どんな服着て出かければいいの……?」
「えっ」
まるで壊れた機械のように繰り返す千佳。
私がそういう台詞をいうことがそんなに珍しいのだろうか。
確かに私は今までファッションもよくわからなかったし、だからといってそれを向上させようとも思わなかった。
服はいつもお母さん任せで、お母さんはセンス良かったしお母さんが「似合う」って言ったものは本当に似合うからそれで満足していた。
でも今は話が別だ。
特にお母さんもいないし、それに今回は男の人とデ……デー……デーt……えっと、お出かけなわけで。
千佳ならばそういうのは詳しいんじゃないだろうか。
「えー!?もしかして奏音デート!?」
「ちょ、そんな大きな声で言わないでよ!恥ずかしい!」
「嘘嘘、相手誰ー!?」
「秘密!ちょっと音量抑えてってば!」
熱くなった顔を煽ぐ。
クラス中の視線が私らに集まりざわついてる。
あぁもう冗談じゃない、なんでこんな羞恥プレイを受けなきゃいけないんだ。
「え、マジで?姉御デート?」
「そうっぽいよ樹君、和樹君」
二人が並んでこちらに近づいてくる。
今気づいたけど二人の名前ってなんかすごく似てた。
仲もいいし、兄弟っぽいななんとなく。
「へー、相手誰誰?」
「委員長のことだから相手イケメンだろうなー。 俺も興味津々」
「ちょ、和樹君まで!冗談じゃないよ勘弁してよもー……」
「わー、奏音顔真っ赤だよー。 ちょっと可愛いかもー」
すべての元凶がにしし、と歯を見せ笑みを浮かべる。
というか可愛いと言っている彼女本人が一番可愛いのだが。性格さえなければもっとモテるはずなのになぁ。
「だから、その……千佳に頼みたいことって……」
「うんうん、服のコーデだねー。 奏音のクローゼットの中身は大体把握してるから任せてー」
なんで知ってるの。
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始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ayakaさん» Rの要素ございました? (2020年6月25日 14時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
ayaka - [R]つけてください (2020年6月24日 20時) (レス) id: 6bf9ec98ce (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - ゆうきさん» あぁああうれしいです!全力できゅんっと来るような描写をさせていただきます…無駄に多く長い小説をすべて読んでいただき感激のあまり…いや本当に感激です!(語彙力が足りない)ありがとうございます、頑張らせていただきます!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - いか糖さん» 本当に長くなりそうなので飽きないって言ってくださってうれしいです……!ワンパターン・テンプレばかりの小説だというのにそんなことを言って下さるなんて…!頑張ります!! (2017年6月25日 13時) (レス) id: d48db6c0c1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - コメント失礼します!先生かっこよすぎませんか!?一話から続けて読んでいますが、先生の一つ一つの動作にキュンキュンさせられてます!こんな先生本当にいたらいいのにな…更新がんばってください!楽しみにしています! (2017年6月11日 15時) (レス) id: 6c9139a3b2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:∧∧ネコミミ∧∧ | 作者ホームページ:
作成日時:2014年11月14日 20時