第二十五話 ページ26
「へぇ、そりゃあいいな。 作ってくれるのか、邦月？」
「冗談じゃないです、ただでさえ毎日5時半起きなんですよ……」
「地味に俺より早いぞそれ」
大丈夫、千佳なんて多分7時半に起きてる。
だからいつも朝はハイテンションなのだ。必要以上に睡眠取ってるから。
あぁあ羨ましい。眠い。
「家に兄と妹が一人ずついるんで、三人分のお弁当や朝ごはん用意しなきゃいけないんです」
「若いのに大変だなー……あ、」
小さく声を漏らし、笹塚先生は私に向かって手を伸ばしてくる。
その男にしては細長く形の整った冷たい指が私の手に触れ、馬鹿みたいに体がびくりと震える。
そんな私の動揺に気付いているはずなのに、先生は手を引かずそのまま私の手を取った。
「ッ、先生っ？」
動揺が声にも表れる。
驚きと緊張に揺れる声に、思わず顔に熱が集まりそうだ。
どくどくと鼓動が耳障りで、心の底から黙れと心臓に罵倒したくなった。
「この、火傷もそれのせいか？」
そういった先生は、私の腕にある小さな火傷を指差した。
それは確かに、今朝唐揚げを揚げているときに油が跳ねて火傷したところだ。
だけど何故気付いたのだろう。
私ですら忘れてしまうほど小さい火傷だというのに。
「へ……あ、そ、れは……あの、唐揚げ揚げるときに……」
「あー、油か。 俺料理の中で特に揚げ物が嫌いだ。 痛いし熱いし」
「な、慣れれば平気ですよ案外……」
声が震える。
未だに先生の冷たい手は私の手首を握っている。
その冷たさがじわりと私の体温の中を侵食していくような感覚に、動揺が収まらない。
必死に落ち着けと自分に言い聞かせているというのに、それが空回りしているようで頭の中がぐちゃぐちゃだ。
「……先生、その……手、」
「え……あ、悪い」
何でもないような声で、先生は私の手を解放する。
解放され手が元の位置に戻った後でも、私の胸の鼓動は収まらない。
まるで持久走を走った後のような、鼓動が全身を駆け抜けるような感覚。
ふと嫌な気配がして、私は千佳のほうを見つめてみる。
そんな彼女は、口裂け女かとツッコみたくなるほどにんまりと顔いっぱいに笑みを浮かべている。
慌てて「違うから」と首を振ってみたが、何を言ってもさらに笑みを深くするだけだ。
あぁもう面倒くさいッ
「ちなみにぃ、笹塚先生は甘党だったりします？」
「ん？……あぁ、実はそうだけど、よく知ってるな」
「奏音も甘党だよね！奇遇だなぁ」
誰かこの子を止めてください、切実に。
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アミ(プロフ) - めっちゃ面白いです！文才ありますねー！尊敬しますよ〜。 (2020年7月8日 20時) (
レス) id: 86dee03899 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - 猫沢さん» ひゃー一作目のコメントなので確認できてませんでした！すみません感覚で掴む派なので文法苦手なんですよー！訂正有難うございます！変えておきますね！返事遅れて本当にすみませんでした！！ (2020年4月13日 14時) (レス) id: 6c149362e0 (このIDを非表示/違反報告)
猫沢(プロフ) - 続編前の作品にコメントするかどうか迷ったのですが、第七話のhaveのくだり、あれ過去形じゃなくて過去分詞形では…。すみません、気になったらコメントしちゃうタイプなんですううう… (2019年6月5日 1時) (レス) id: 3e8fc16044 (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - お願いあるんだけど良いですかな?るろうに剣心の張×女体化そうじろうの恋愛長編を作って貰いますかな?始まりの出会いは幼少期で志々雄を出会う前で (2018年10月31日 16時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
始まりの神:トワイライト・ジェネシス(プロフ) - matsumatsu1234さん» コメントが遅れて申し訳ありません！ウザかったですかね？でも根はいい子なので嫌わないであげてくださいｗｗ (2014年12月8日 19時) (レス) id: 37256eb247 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：∧∧ﾈｺﾐﾐ∧∧ | 作者ホームページ：
作成日時：2014年6月9日 0時
