玉狛のお姫様はボーダー最強 10 (ページ10)

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〜A〜

真史さんが挨拶回りから戻ってくるとまた私の行動が制限された

背中を叩いて訴えると、ご機嫌取りのシュークリームを取ってくれた

美味しい美味しい

食べてる間ずっと私の前に立ってるけど何で？

｢龍希さん。本当にスポンサーになるんですかね｣

忍田｢もうなってるからこの場にいるんだろ｣

｢そっか｣

極道がスポンサーって嫌そうにしてるけど、龍希さん達がこの三門市でどれだけ称えられてるか知らないんだろうな

忍田｢A。落としたぞ｣

黒視蝶(ブローチ)が落ちるとすかさず拾って手に持たせてくれた

これが誰だか知ってるくせに………

忍田｢例えどんな事をされても……大事、なんだろ｣

心臓をえぐり取られたように痛かった

その質問には答えが一つしかない

｢そうだね｣

コレを捨ててしまえたらどれほど楽になれるか

私はこんなものを持ち続けて何がしたいんだろ

忍田｢どうした？｣

｢喉渇いたなぁって｣

忍田｢オレンジジュースでいいのか｣

｢うん｣

1人になると、子供の頃に見た黒いモヤが目の前に現れた

その目を私は知ってるはずのに思い出せない

強い風が吹くとモヤはいなくなっていた……わけじゃなかった

着いて来いと言うように移動してるようにも見える

｢行けば……いいんだね｣

その目の持ち主が誰だろうとかまわない

償えというなら償うよ

忍田｢A……？｣

会場を出ちゃった

どこまで行くんだろ

どこからか聴こえてくるクラクション

用意されたような一本道をひたすら真っ直ぐ歩いてると、正面から吹いた突風に後ろによろけた

運転手｢バカヤロー！！死にてぇのか！！｣

止まらずに走り去っていく車

いつの間にか一本道は消えた

｢白昼夢……かな｣

あの目なら連れて行ってくれると思った

天国でも地獄でもない

私が行きたい場所に