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〜A〜
千佳「Aちゃん。話してるとこごめんね。子供がボール投げちゃって……私じゃ脚立に乗っても届かなくて。取ってもらってもいいかな」
「え……あぁ…うん」
千佳「??」
これくらいどうって事ない
登って取るだけ………
三河「前から思ってたけど、Aって高所恐怖症だよね」
「え!?そん…な、ことないよ!!!」
三河「全力で否定されると肯定の意味にしか捉えられないよ」
「エレベーター乗れるもん」
三河「外の景色は一切見ないけどね」
「闘うとき、屋根の上とか乗る」
三河「トリオン体だから平気なんじゃない?生身じゃ無理でしょ?」
ことごとく論破されていく
高いとこが怖いのは……知ってるからだ
私の伸ばした手は誰にも掴んでもらえないことを
冷たく見下ろされる無数の目に恐怖しているからだ
「取れるもん」
意地になるのは、こんな事も1人で出来ないようならこの先三河さんの側に居続けるなんて、到底出来ないと思ったから
一段目に足をかけると、本部長様がちょっと背伸びをして取ってくれた
忍田「怖いなら無理しなくていい」
めいっぱい私を甘やかそうとしてくれてる
私が贖罪の意味でボーダーで働いているのと同じ理由で、本部長様にも同じ思いをさせているなら、私としてはとてつもなく不本意だ
全部を背負って欲しいわけじゃない
ただ私の…………
千佳「ごめんねAちゃん。知らなかったといえ頼んじゃって」
「ううん全然。これからも頼ってくれていいよ」
なんて言いながらも指先は微かに震えていて、それを隠すように全員分のオーダーを取って厨房に逃げた
怖いはずないのに
アレは私自身も受け入れたこと
だから意識しちゃったんだ
そうだ。そうに決まってる
だって私が本当に怖い事は…………
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作者名:まゆ | 作成日時:2018年12月23日 15時