玉狛のお姫様はボーダー最強 8 【過去編】 (ページ14)

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～Saidなし～

罪悪感はあった

1年という時を経ても彼女の声は治らなかった

そして、罪悪感にかられ、良心の呵責(かしゃく)に苛まれたからこそ、本部内だけなら出歩くことを許可した

その小さな足で懸命に忍田本部長のあとをついて回る

それでも出来るだけ隊員達に彼女のことは秘密にした

面白半分で興味を持たれ、また傷つける結果にでもなったら城戸も不本意である

そして、そんな彼女を｢可哀想｣と憐れむ者もいるだろう

それは……最大の侮辱でしかない

娘を守るために父親が命を落としたことは残念ではあるが可哀想ではない

むしろ称賛に値する

城戸｢トリオンの計測？」

忍田｢Aは少々、ネイバーを引き付けるとこがある」

外に出して狙われるのなら安全とは言い難い

忍田本部長は言葉の真意を確かめるため

城戸は今後、彼女を護るため

岸原Aのトリオンを計測した

鬼怒田｢このトリオン量は………」

計測器が壊れてしまうほど桁外れのトリオン

まるで無限にトリオンを作るための装置のように底知れない

現隊員にも、これから先にも現れるとも限らない数値

彼女のトリオン量は城戸の｢守る｣という決心(気持ち)を鈍らせた

この力があればネイバーを一掃することも可能になる

その度に心を殺していくことを承知でも、その力が欲しくてたまらない

きっと忍田本部長はそう思っただろう

忍田｢待ってください！彼女を隊員にするつもりか！？」

城戸｢当然だ。これは我々ボーダーの戦力になる」

隊員にさえなってくれればより一層監視下に置いて、守ることができる

1人で泣いてしまうAを見つけてあげられる

忍田｢貴方はどごまであの子の人権を無視するつもりですか」

城戸｢そんなに心配なら桧谷……岸原AはA級1位部隊太刀川隊に入れよう」

忍田｢貴方の支配下に……？」

唐沢｢ネイバーさえ攻めてこなければ彼女の両親は死ぬことはなかった。そういうことですね。城戸司令」

彼女は大人達の顔を順番に見た

一番傷ついた顔をした忍田本部長の手をそっと取った

そして手の平に何かを書いたあと、小さく微笑んだ

それは、きっと……忍田本部長だからこそ彼女の心を取り戻せたともいえる

忍田｢私は……」

父親代わりだからこそ父親と同じ道を辿らせたくない想いは伝わる

林藤｢岸原Aは玉狛で面倒みますよ」