玉狛のお姫様はボーダー最強 8 【過去編】 (ページ13)

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～Saidなし～

忍田本部長の不定期の報告を聞くたび思う

あの子を守れているのだろうかと

生前桧谷蓮矢に頼まれていた

蓮矢『ボーダー内で俺の存在(こと)を極秘にしてくれてありがとうございます』

蓮矢『家や会社にバレると辞めさせられるのが目に見えているので』

桧谷蓮矢のトリガーにベイルアウト機能はついていなかった

他の隊員のレーダーに映らないようにもした

そうして、とにかく桧谷隊の存在は隠し続けた

この国で一二を争う桧谷グループの会長がネイバー(怪物)と闘うなど前代未聞

ありえてはならない現実(こと)

蓮矢『もし俺に何かあったら妻と娘をお願いします』

真っ直ぐと目を見た

ベイルアウトをつけなければ当然、死もありえる

彼は常に覚悟して生きていた

だからこそ保険をかけた

自分がいなくなった世界で2人を守ってくれる存在

それが城戸だった

唐沢に記憶を消して家に帰したらと提案があったとき、それが一番なかった

記憶を消して誰も帰らないあの家に帰すのは城戸の良心が拒んだ

以前より彼女の存在は目にしていた

たまに父親にくっついて来ては忍田本部長に懐いていた

誰もいない真っ白な部屋は城戸の心を焦らせた

だが、よく考えると彼女は忍田本部長の部屋で寝ている

彼女の記憶を二度も消すという非道には走れない

泣いて泣いて泣いて、恐怖した小さな子供

知ってしまったから

ネイバーの恐ろしさもボーダーが不完全であることも

彼女を外に出せば悲劇が繰り返される可能性はゼロではない

子供のうちはまだ安全を考慮して、彼女が12歳になった時にでも解放してあげられたらと思う