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〜A〜
忍田｢忍田だ。入るぞ」
また誰か来た
忍田｢食事を摂っていないと聞いたんだが」
ご飯はみんなが揃った時に食べるんだ
いつだってそうしてきた
今日はまだ帰りが遅いだけ
もうちょっとしたら帰ってくる
笑顔で｢おかえり｣って言ってあげるんだ
そしたら｢ただいま｣って返ってくる
忍田｢少しでもいいんだ。食べてくれるか」
どうしてこの人はこんなに話しかけてくるんだろ
あれ…………
この人誰だっけ？
何でこんな馴れ馴れしいの？
忍田｢今なら碧さんの気持ちがわかるな」
｢お……かあ…さん」
自分でも驚いた
失ったはずの声が出た
もういらないと捨てたはずの
それが胸を締め付けた
忍田｢今日から私が君の父親になろう」
蓮矢『いいかA。絶対……誰にも内緒だぞ』
蓮矢『愛してる』
目の前のその人は笑って私を抱き締めて、人の形を終えた
いない
もうどこにもいない
"私が愛した”人はどこにも……
じゃあ私はこれからどうすればいいのだろう
死ねばいいんだ
でもこの人は私を殺そうとしない
生かそうと手を尽くす
〜忍田〜
Aは本当にたった一口だけ食べて口を開けることはなかった
食べてくれただけ良しとするか
唐沢｢どうでした。彼女」
忍田｢貴方には関係ない」
唐沢｢城戸司令が報告するようにと言ってましたよ」
忍田｢ﾁｯ…今から行く」
唐沢｢(舌打ちしたな。今)」
忍田｢特に報告するようなことはありません」
城戸｢そうか。では、彼女に対して要求はあるか」
要求？そんなもの決まっている
忍田｢Aを外に出して下さい」
城戸｢それ以外だ」
だと思った
この人は自分のルールを曲げない
それが正しいことなら私も賛成だ
だが
罪もない被害者を自分達の保身のために閉じ込めた
それは正義とは呼ばない
忍田｢風呂はどうしてるんですか」
城戸｢自分で体を拭かせているが」
忍田｢は…………？はぁ！！？Aは女の子ですよ！！何考えているんですか！夜中でもいいんでシャワー使う許可ください！！」
城戸｢誰にも見つからなければかまわん」
忍田｢分かりました！！」
せめて最低限のことはしていると思ったが考えが甘かった
常に隊員や職員がいる本部で、Aを部屋から出すわけがない
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作者名：まゆ
| 作成日時：2019年2月7日 15時
