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〜A〜
真実にさえ気付かないフリをしていれば、だいたいは上手くいった
愛されているフリさえしていれば周りは優しさで溢れた
イザナ「交渉は成立だね。大丈夫だよ。君を苦しませた愚息は“もういない”から安心して我が国に来てくれ。父親に挨拶がしたいならその時間は設けよう」
「あの人は死んでる。もういない」
イザナ「君は面白いことを言うんだね。桧谷蓮矢を一度だって父親と思ったことはないだろうに」
なぜこの人は私の過去を、私の心が読めるの
お母さんがあの人をお父さんだと言うから私は「お父さん」と呼んだ
三河さんと出会って偽物だと判明したから「お父さん」と呼ぶのをやめた
一度閉ざした蓋が開いてしまうと、自分でさえ忘れていた記憶が巡る
そうだったと認めてしまえば急に全てがバカらしく思えた
私のしてきたことは全部意味がなくて時間の無駄だった
それならもうこの人に連れられてもいい
どうせここにいる理由もない
イザナ「三河に、会いたいだろ?私はこれでも寛大だから君の望みは叶えてあげるよ」
「三河さんは親じゃない」
イザナ「うん。知ってるよ。君がそう言うってこと。だから鑑定をしたんだ。君達の……DNAは親子であると証明された」
99.9%の確率で私と三河さんが親子であると断言した鑑定結果
「違う……。三河さんは……私の親じゃない。絶対に」
三河さんだってそれを認めない
イザナ「ふぅ……日本では拳銃の所持は認められていないはずだが。それに私を撃てば面倒だろう?色々と」
光月「気にするな。死体の一つ……いや、二つぐらい処理出来る」
イザナ「如月の出来損ないは躾がなっていないようだ。一体どんな気分だい?才能の塊の片割れから受けた“施し”は」
光月「最高だよ。あんたと対等になれたんだからな」
イザナ「私と…?君如きが?」
光月「形はどうであれ俺が当主だ」
イザナ「いつの時代も如月は出来損ないがその座に就くんだね」
光月「ここは日本だ。お前達のルールをこのまま適用すると思うな。今すぐに消えろ」
イザナ「そうだね。今日のところは君の顔を立ててあげよう。あぁ…どうして撃たなかった?私を殺せば終わるのに」
光月「撃ったら貫通してAに当たるだろ」
イザナ「ふっ…くく。噂以上に大切にしているみたいだね」
光月「あんた……一つだけ間違えたよ」
イザナ「そう。じゃあ…その間違いが正しいことになるよう日本を作り変えるとしよう」
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作者名:まゆ | 作成日時:2021年6月4日 9時