図書館☆内乱 (ページ4)

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3冊目ページ4

笠原の両親が閲覧室に現れた。
私は配架をしながら2人を見ていた。

柴崎「笠原、相楽、カウンター入ってー！」

笠原がテンパって入力を間違える。それをカバーする堂上教官。

柴崎「ありがと、もういいわよ。」

柴崎から声が掛かった。
配架を再開する……と、

笠原父「すみません。」

笠原のお父さんが声を掛けてきた。

笠原父「今年の時事問題について調べたいんですが、何かありますか？」

彼が試そうとしていることはすぐに分かった。私ではない、笠原をだ。

『どういった傾向のものをお求めですか？』

笠原父「特にどの分野ということではなく、総括的なことを。」

特設コーナーへ案内する。

『【総論】や【時事】シリーズは貸し出し中のようですね、やはり人気のシリーズですので。』

笠原父「他におすすめのものはありますか？」

『軽く読めるようなものですか、それとも考証の詳しいものをお求めですか？』

笠原父「では、読みやすくてある程度の考証のあるものを。」

その注文を聞いて目次を見ながら比較的薄いものを2冊くらい勧める。

『先ほどの2冊ですが、貸し出し中で予約も詰まっているということですから、お客様の場合は関東圏なので予約を入れて越境貸し出しも可能ですが、搬送に時間もかかりますし、地元の図書館で借りていただいた方がよろしいかと。』

私の説明に満足したらしく笠原のお父さんは立ち去った。
笠原にも同じことを聞くのだろう。でも笠原が特設コーナーへ案内するとは思えないし、検索を今年の年号でかけることもしかねない。でも私は笠原を信じる。笠原のお父さんが笠原が失敗しても仕事を認めてくれることを信じることにした。午後からは書庫で見届けることはできないが。