モノ忘れのコイ (ページ8)

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胸の奥にページ8

.side Prince

Aちゃんの歩幅に合わせて歩く。

シャッターが閉まった商店街のど真ん中に俺たちの声が響く。

「岸くんさ、彼女とかいないの？」

岸「いないよ。だって、俺こんなんだし」

「勿体ない。かわいいのに」

岸「バカにしてる？」

「してない」

Aちゃんは、よく笑う。

小学生の頃も、クラスの太陽みたいな女の子だった。

岸「いつまで？ここにいるのは」

弟の引越しのついでに、こっちに戻ってきたというのをふと思い出した。

「んーいつだろ。明後日とかかな」

今日が終わったら、彼女と会うのは最後かもしれない。

突然、そう思ったらなんだか、自然と言葉が出た。

岸「明日は？何すんの」

警戒させないように、丁寧に。

商店街は、相変わらず静かな雰囲気を守っている。

「まだ決めてないけど」

岸「じゃ、明日遊ぼうよ」

「何して？」

岸「小学校、行かない？」

一瞬、びっくりした表情になったAちゃんは、

ニヤリと悪戯に笑って''いいね''と一言だけ言った。

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