この口だから ページ39
.side Prince
ごめん、とただ一言言うだけなのに、こんなに時間がかかってしまった。
今更と思われるかもしれない。
それでも、Aちゃんとあのまま終わってしまうのは嫌だった。
岸「この間はごめん。本当にごめん」
「うん」
岸「ずっと謝りたかったんだけど、言われたこと、全部事実っていうか、痛いところ突かれまくりで……出直しにくくて……」
「男のくせにカッコ悪い」
岸「男女平等だろ?」
「そうだね。だったらわたしも謝る。言いすぎた、ごめんなさい」
岸「Aちゃんは悪くないよ」
「男女平等なんでしょ?」
Aちゃんがいつもの顔で笑ってくれた。
よかった。
やっと胸のつかえが取れた。
そして、ここからが本番。
岸「じゃあ、仲直りしてください」
「うん」
岸「仲直りの記念に、一緒にボード行かない?」
「ボード?」
岸「うん。スノーボード」
Aちゃんは、スノボかぁ、とコーヒーを淹れ直しキッチンのカレンダーを覗く。
「だから、岸くん。その顔ずるいって」
コーヒーをすすりながらちらりと俺を睨み、
Aちゃんもずるい顔で微笑んだ。
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作者名:つばめ | 作成日時:2018年11月15日 0時