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結末と知っても ページ26

.side Princess






お盆を過ぎ、街が通常に戻りきった頃、岸くんと東京で会った。


白いTシャツを着て赤いキャップを被った岸くんは、大分短く髪を切っていて顎のラインがさっぱりしていた。





駅の雑踏の中でも髪型を変えていても、すぐに岸くんを見つけられた。

よく日に焼けていてたくましく見えた。







岸「久しぶり、Aちゃん!」





真っ白の歯が綺麗に並ぶ。


新しく揃えたワンピースとミュールは、雑誌のモデルが来ていたとおりに上から下まで真似して買った。







岸「暑いねー!」






「どっかはいる?」






岸「なんか飲もう。それから東京観光しよ」







「観光って、岸くんだって東京の人でしょ?」








岸「じゃあAちゃんは浅草とか東京タワーとか新宿の御苑とか、何度も行ったことある?」







「ないけど……」






岸「じゃあ行こう」






岸くんは満足げに笑った。

お盆を過ぎたといってもまだ夏休み進行中の街はごった返していて、人を避けながらくっついたり離れたりしながら歩いた。







「こっちにはいつ来たの?」






岸「ん、10日ごろ」







「ずっと家に?」







岸「うん。大きな茶会があってね。裏方の手伝いしてた。ただの雑用だけでつまんなかったよ。

どうせ俺、何も出来ないからしょうがないんだけどね」





岸くんは大して気にしてない様子だった。




だけど、あの重厚な屋敷が脳裏に浮かぶ。

やっぱり見に行かなければよかったと、後悔で心が淀んだ。








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作者名:つばめ | 作成日時:2018年11月15日 0時

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