モノ忘れのコイ (ページ3)

今日:9 hit、昨日:0 hit、合計:32,315 hit

最後のページにページ3

.side Prince

小学校の同総会なんて、覚えてる人半分、わからない人半分。

所詮、そんなもん。

20人ほど集まったクラスメイトたち。

もうすでに、中間管理職かと思われるような風貌のやつもいれば、

紫耀みたいにスタイリッシュな大人に成長を遂げた人もいる。

「あーっ！A！」

甲高い声に振り返ると、俺の思い出が色褪せずにそこに立っていた。

「久しぶり」

少し低いハスキーな声。

少し大人になったあの頃のキミが、照れくさそうにはにかんだ。

紫「永瀬！久しぶり」

「紫耀くんも。久しぶり」

紫耀の隣の女に引き寄せられて、俺の前に座ったAちゃん。

彼女もまた、スタイリッシュな大人になった1人だ。

紫「永瀬、いま何してんの？」

「東京でOL」

紫「えー東京とかすご！芸能人とかあったりすんの」

「しないよ。そんな簡単に会いません」

あの頃、三つ編みをしていた綺麗な黒髪は、

顎のラインで綺麗に切りそろえられ、茶色くなっていた。

小学生のキミは、紫耀のことが好きだったよね。

.