震える指先で ページ13
.side Princess
岸「紫耀は多分気づいてないよ。あいつ、自分がモテてるのナチュラルに知らないタイプだから」
「そこがいいんだよ」
岸「昨日の紫耀も?」
後ろの黒板から、振り返ると岸くんと視線がぶつかる。
何となく居心地の悪いソレに、また黒板に視線を戻した。
「カッコよかったね。スーツも良く似合ってたし。でも、そんな簡単に好きにならないよ」
岸「どうして?」
「初恋は初恋。昨日は昨日、だよ」
岸「あの時間で恋に落ちなかったの?」
「そんなに簡単に恋しません」
なんて言ったけど、昨日紫耀くんの左手をみて落胆したことはきっとバレてるんだろう。
岸「恋は、瞬間でしょ」
ガタンと椅子を引く音がして、振り返ると岸くんは立ち上がって外を見ていた。
岸「あの時間だけでも、十分好きになれるよ」
「いや、別にわたしは」
岸「一度好きになったやつならなおさら、簡単に」
今更ながら、岸くんがひとりの男の人であることを認識して、
心拍数がまた少し早くなる。
もう一度ぶつかった視線。
岸くんのあまりにも真剣な眼差しに、吸い込まれた。
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作者名:つばめ | 作成日時:2018年11月15日 0時