キスをしたね ページ12
.side Prince
目の前に広がった光景は、ミニチュアみたいだった。
机も椅子も本棚も窓も、全てが小さく感じた。
その懐かしい空気を思い切り吸い込むと、Aちゃんは子供みたいにはしゃいで窓側の席に座った。
「こんなんだっけ?」
俺は、少し離れた席に座る。
岸「Aちゃん、その席だった?」
「覚えてないよ。岸くんは?」
岸「俺も覚えてないけど、Aちゃんの隣に座ったことはなかったよ」
今度はAちゃんの隣の席に座ってみる。
岸「あの頃は誰が好きだった?」
「小学生の時?」
岸「当ててみようか。紫耀でしょ?」
俺の答えに、Aちゃんはキョトンとする。
「どうして知ってるの」
岸「だって、Aちゃん。わかりやすいもん。顔に出やすい」
「そっかぁ。紫耀くんにもバレてたかな」
Aちゃんは、立ち上がって、後ろの棚にある水槽を眺めたり、カラフルな絵を見上げたりする。
黒板に書かれた小さな落書きとか、歌の歌詞をみて口ずさんでみたり。
俺は、その背中をずっと見ていた。
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作者名:つばめ | 作成日時:2018年11月15日 0時