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月日は巡り、Aはようやく待ちに待った九歳の誕生日を迎えることができた。
朝餉に赤飯が出た。いつもより少し豪華な食事より、何よりAの心を躍らせているのは忍術学園に体験に行くことだ。
朝起きて昆奈門に会うなり、「早く忍術学園に行きましょう!」と意気揚々としているのである。
「まあまて、忍術学園は逃げはしない。でも朝餉は逃げちゃうよ。」
優しく諭し、昆奈門は悠々と朝餉に向かった。
いつにない速さで食事を食べ終えたAは、もう出発の支度をしている。
「そんなに楽しみなのか?一年待たなければいけないよ?」
それを聞いてはっとする。
「あ・・・そうか。あ、でもそれまでは風魔流忍術学校に居ればいいですよね、あそこなら九歳でも入れますよね、確か。」
「うん、そうだね。」
昆奈門は苦笑した。まあでも、忍術に消極的なのよりははるかにいい。
支度を整え出発した。今回は、そこまで城から遠くないので陣内左衛門が付き添いだ。
「...A、変な男がいたらすぐに叫べ。わかっているとは思うが、我城のことは話すなよ。実力も見せないほうがいい。」
「はい、心得ております。」
昆奈門にそう言われ、Aはいっそう気を引き締める。
城を出たのは朝早くだったが忍術学園につく前に日が暮れてしまい、宿に泊まることになった。
「しかたない、今日は宿に泊まろう。」
「じゃあ今日は私が雑炊を作ります!」
「...たまには雑炊以外にしないか?」
栄養もあるし、携行しやすいということでタソガレドキ忍者の忍者食として毎日一回は雑炊を食べている。
「それもそうですね。」
二人は笑った。
宿屋に入ると驚かれた。
「随分とまあ、お若い御父上ですねえ。今は一人部屋しか空いていませんで、それでよければ泊まってってください。」
愛想のいい宿主に案内され、部屋に入る。
「...私は父親ではない。」
宿主が出ていくなり、陣内左衛門は不機嫌そうにぼやいた。
「いや、まあ、その...。確かにお父さんのような優しさと安心感はあります。たぶん、見た目の話ではないと思います。兄にしては離れすぎてるし。」
「そうか、だといいけどな。」
囲炉裏に火をくべ、その前にあぐらで座る。
「...やっぱり、組頭の横ずわりってそうとう士気をそがれますね。」
「ああ。私もそう思っていたところだ。」
また笑い合った。
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めりかもち(プロフ) - ネコさん» ごめんなさい、非公開にしてたんです、修正箇所があったもので・・・ (2017年3月14日 14時) (レス) id: b21596c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ(プロフ) - 13話はないんですか? (2017年3月13日 18時) (レス) id: e74d9a9bc5 (このIDを非表示/違反報告)
めりかもち(プロフ) - yukiさん» わざわざありがとうございます! (2017年3月13日 13時) (レス) id: b21596c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
めりかもち(プロフ) - そうです、ありがとうございます! (2017年3月13日 13時) (レス) id: 62949f6d7f (このIDを非表示/違反報告)
yuki(プロフ) - イベントの開催者です!こちらの作品で合ってますか? (2017年3月12日 14時) (レス) id: af8dad474e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:めりかもち | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/merikamochi/ninntama
作成日時:2017年2月23日 18時