【忍たま】【タソガレドキ】~先輩達の恋の段~ (ページ4)

今日:1 hit、昨日:14 hit、合計:24,259 hit

3 ページ4

「Aが息を、息を吹き返したぞ!尊奈門!」

尊奈門は、目に光を取り戻した。それはもう、本当に久しぶりに。

返事も忘れ、Aの部屋に転がり込む。

「A、A!!」

そこには、いつもと同じように笑う、Aがいた。

少しやせてしまった以外には、おおむね変わりはない。あとは、背中の傷。

「心配かけて、ごめんなさい。」

まず真っ先に謝ったAを見て、二人はその場にへなへなと、倒れこんだ。

「ほんっとに、心配した...。」

尊奈門はAにすがりつく。

「生きてる...!」

Aは激痛に顔をゆがめたが、何とか抱きしめ返した。

「尊奈門さん達こそ、ご無事でよかった。...あれ、母さんは?」

場が、凍り付く。

二人の雰囲気で察した。もう両親には、二度と会えない。

「しょうがないよっ、忍者だから...。」

そういって必死に涙をこらえる。

「...泣いていいんだぞ。」

陣内左衛門は優しく声をかけた。

しゃくりあげ始めたと思ったら、堰を切ったように泣き出す。

Aが落ち着いたころ、昆奈門が入ってきた。

「...A、明日から訓練に出られそうかな?」

その言葉に、Aは目を丸くする。

「いいんですか?」

「もちろんだよ。君は、自分で自分の身を守らなければならない。そのためには必要なことだからね。」

毎日遠くから眺めていて、おもしろそうだな、やりたいな、と思っていたので、Aは大喜びした。

背中の傷もだいぶふさがってきて、体も走り回りたいとうずうずしている。

「今からでもいいですか!」

昆奈門は目を細め、うなずいた。

「まずは、筋肉をつけないといけないけどね。」

訓練場に来て、なにをするのか告げられたAは愕然とした。

武器を使う前に、筋力をつけるための訓練をたっぷりやらされたのだ。

おまけに、汗がしみて傷が痛い。

すぐに医者に見つかり、なにしてるんだと怒られた。

まだ一週間以上は安静にしろ、と、昆奈門もろとも怒られる。

不服そうにするAを見て、医者が提案した。

背中の傷が開かない、室内でできるものならどうだと。

「それでも、やりたいです。」

その日から二週間、部屋で腕立て伏せや、腹筋、脚力を上げる訓練をひまさえあればするようになった。