[ 限 / 界ﾒﾝﾊﾞｰ ] 疫病神と限界さん (ページ46)

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暇なので黒板近くの整理をしていたら、足音と話し声が聞こえてくる。
　――それは、彼らが来たという事。
　鏡なんか此処にはない。曇った窓ガラスに指を滑らせ、窓を鏡として活用する。

　手で頬の辺りをくいっ、と持ち上げ、無理矢理笑顔を作る。
　笑顔の練習を手早くして、よし、と小声で。

　「サプライズは…」
　「でもやっぱ…」
　「……だったらどうする?」
　「本人は…」

　聞こえてくる四つの声。
　覚悟を決める。

　何度も聞いた音を鳴らし、扉は開く。
　
　『...お早う御座います。私、屋上の掃除行ってきます。』

　
　げ「屋上...?」

　疑問を遮る様に、私は、あの ! と声を張る。
　一斉に此方を見られ、言葉を紡ぐ口が上手く動かない。

　『その、... 有難う御座いました。』

　練習した笑みで、感謝と惜別と、何より..私のような疫病神と一緒に居てくれ、楽しませてくれた事への嬉しさを込める。
　
　脱兎の如く教室を飛び出し、屋上の扉を開ける。
　その頃には、私の息は既に上がっていた。

　目の前に広がる青空が、私を嘲笑う様に見えてしまう。
　暗い曇り心の時に限って、青空が憎々しく見えるのは私だけだろうか。
　

　こういう時ってどうしてから飛び降りれば良いんだろう。
　

　遺書とか、上靴を脱いでからとか、... まぁ、どんな形であれ私が消える事実に変わりはないのだけど。
　

　後ろが気になる。

　もしかしたら、と心の奥で期待してるのかもしれない。

　誰かが、とか。

　
　『 ――――バッカみたい。』

　女王の口癖を真似る。確かに、私は馬鹿だ。
　自分から決めたというのにまだ引き摺ってる。

　

　こんな疫病神に報いなんて来るわけない。