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思いの混濁 ページ31

Aside


 部屋を移動させられた。



 手枷まで付けられ、警備を付けられて、地下の牢獄みたいな所まで。


 何だか、映画で有るような石造りの外観に苔がちょっと生えててカビ臭い。
 はぁ、と溜め息をついて体育座りで眠ろうとする。


 ...まぁ、眠れないよね。


 『 ... 助けて、... 』

 空虚で冷たい空間から逃げたい、救ってほしい。


 ...なのに、国を渡す条件なんて。


 自分が分からない。


 助けて欲しいのか、助かりたくないのか。


 『 生きるって決めたのに、なぁ ... 』


 何で、何であんな奴等に。


 創り上げてきた国の価値も、人の価値も、分からない奴等に何で屈してるの私は。


 悔しい、悔しい。


 生きるんだ。


 .... 自分の為に、皆の為に。



 『 ... あの ー、見張りさん、ちょっと良いですか ? 』


 培った力を全部使って、今私に出来る事をする。
 ずっと頼るなんて無理だから。

 
 「 ... 何だ、最低限の会話しか許されていない 」

 
 『 私の国の弱点を教えます。貴方だけにね。... 耳貸してください。』

 
 相手が此方に耳を寄せてきた瞬間、相手の頭を牢獄のオリにぶつける。
 鉄製のそれは、とても痛く勢いよく叩きつけたから気絶させた。


 相手のポケットに括り付けられた牢獄の鍵を取る。


 ... ただ、今は使わない。

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作者名:樽狸 | 作成日時:2019年3月21日 11時

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