エピローグ ページ50
ーーーNOside
「英智〜、今月の予算が思ったより嵩んだ」
英「そんな軽い調子で言われても……まあ、実績が出ているからまだ良いけれどね」
「俺が所長だからな。実績はどこより出すよ」
会社の副社長、そしてNEW DIMENSIONの所長という肩書きにそぐわぬラフな格好で、Aが机に寄りかかる。
その綺麗な瞳が書類を映すや否やあっという間に片が付いてしまうのだからその実力は最早呆れるほどで。
その手腕を無駄にしているようでならない、と英智は笑った。
それでも社長にはならないと言い張るAの言葉を遮るかのように、思い切り扉が開かれた。
月「A！」
「うおっ！………レオ〜、ここ社長室だぞ？分かってる？どうやって入った」
月「Aを引き取った家の息子だって言った！それよりA！」
「は、はい」
レオの剣幕にたじろいで後ずさるAを見て、英智がクスクスと笑う。Aはそれをひと睨みして黙らせると、もう一度レオに向き直った。
月「何で海外の仕事が多いんだよ」
「はぁ？それはお前と泉が海外にいるからだろ。奏とも仲良くやってるみたいだし、無理やりこっちに来させる理由も無いかなって」
月「それじゃスオ〜達に負担が掛かるばっかりだろ！いつでも飛んで来るって言ってるのに」
優しい思いやりから生まれた文句に、Aは困った様子で唸る。
確かに海外の仕事を増やすようにとプロデューサーに指示はしたが、決めているのは俺自身じゃないとでも言いたいらしい。
Aがそれを素直に伝えると、レオは益々不機嫌そうな顔になった。
月「根源はAじゃんか！」
「しょうがないだろ？俺たちが目的としているものに鑑みても、海外でも活動してもらわないと」
月「それが多すぎるって話だよ！」
英「っふふ…優しいなぁ月永くんは」
月「何だよテンシ！」
Aはやれやれと肩を落として英智を見る。
「ほらな。だから俺は社長にはなれない」
英「ふふっ、言い訳じみているけれど…取り敢えず納得した気でいようかな」
月「おいっちゃんと聞けよ〜！」
義兄弟と血を分けた兄弟。まるで３人兄弟の様に、広い社長室で長い講義が繰り広げられた。
その後の仕事を秒で捌く羽目になったのは言うまでもない…
fin.
終わり
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
