９０: 困った ページ40
泉「ちょっとぉ、あんたまた『王さま』と何かあったわけぇ？勘弁してよスタフェス前にさぁ！」
「ちょっ、苦しい苦しい！」
泉がズカズカと教室に入って来たかと思えばネクタイを掴み上げられたが、慌てて離すよう求めると素直に手を離してくれた。
が、次は思い切り机に手を叩きつけて説教される。
泉「あんたの事情は聞いたけどさぁ、ずっと一緒に暮らしてきた『王さま』をこんな大事な時期に泣かせて掻き乱すなんてあり得ないよねぇ！今すぐ何とかしてよ！」
「えぇぇ…！？でも今レオ居ないし…」
泉「あぁもう！」
珍しく本気で怒っている泉を目の前にして気圧される。そんなに酷い状態にさせたのか或いは……去年と同じ感じになってしまっているのか。
どっちにしろ問題だ。
イライラしたまま出て行こうとする泉を、聞き慣れた声が呼び止める。
月「セナ！どうしたんだ？そんなに怒って」
泉「『王さま』！なに、もう大丈夫なの？仲直りできたの？」
月「仲直り……」
レオがこちらを見て、また悲しそうな顔をする。その顔はすぐに逸らされ、話しかけるのも憚られた。
それでも呼び止めようとすると、今度は背中を向けられてしまう。その手を掴んで引き止めると、こっちに顔も向けずに苦しそうな声で言われた。
月「ちゃんと、けじめは付けるからっ…もう少しだけ待って。お願い」
「……分かった。必ず話してくれるよな？」
月「うん」
パッと手を離すと、そのまま逃げるように教室を出て行った。
ため息を吐くと、背中をバンッと叩かれる。誰かと思って振り向いた。
「零…！」
零「全く…人の兄弟仲など気にしていられぬのう？」
「うるせぇ。……まあ、自分で蒔いた種だし仕方ないだろ」
そうだ……ちゃんと、義父さんと義母さん、それからルカと蛍にも話さないといけない。
クリスマスまでには片をつけたいけど
「困ったなぁ…」
零「おぬしなら何とかなるじゃろ。月永くんとて物分かりの悪い子では無いしのう」
「まあ、な…。英智と和解できたと思ったらレオを傷つけるとは…自分の不器用さが恨めしい」
その言葉を笑う零にデコピンを食らわせ、今後のことを考えながら席に着いた。
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あけましておめでとうございます！
もう少しで完結です！今年もよろしくお願いします。
.瑠璃烏
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
