６９: 非日常を ページ19
「良いなぁクリスマスとか。キラキラしてる…♪」
月「Aは昔からこーゆー行事が好きだよな〜？なんかちょっと以外」
「そうか？好きだよ、意味の無いお祭り騒ぎって。楽しいし」
リビングに飾られたクリスマスツリーの飾りをいじりながら言うと、レオが楽譜から顔を上げて苦笑する。
月「意味が無いって…w」
「イエスキリストの誕生日をキリスト教徒じゃない人間が祝う必要は本来無いよねってこと。日本のキリスト教徒って１％程度らしいし」
月「そうなのか！？あぁ霊感湧いてきた〜っ！」
「おー頑張れ頑張れ」
おやつにと出されたクッキーを口に運びながら、レオが無造作に走らせるペンを目で追った。
クリスマスは好きだ。街中がイルミネーションで煌めいて、クリスマスツリーは綺麗に飾られ、ちょっと買い物に行けばクリスマスソングが流れている。
そういう楽しい非日常っていうのは皆んなの生活を潤してくれる。
うちではクリスマスだけは蛍も帰ってきて、皆んなでテーブルを囲んで騒ぐのだ。
「昔は本当に羨ましかったなぁ…」
月「何が？」
「あれっ、作曲に没頭して聞いてないかと……いや何ね、昔はクリスマスの夜に自由に外を出歩ける大人が羨ましかったなぁって」
月「えっ、外に行きたいの？寒いだろ？」
「キラキラしてる街中を歩くのってそれだけで楽しいから」
なるほど、と頷いたレオが何かを考え込むように腕を組むのを横目に冷めたコーヒーを口に含んで顔を顰めた。
突然、レオがパッと顔を輝かせて言葉を放つ。
月「じゃあ今年は外食しようっ！」
「あぁなるほど、その手があったか。でも一度義父さんに相談しないとな」
月「おれらの可愛い妹達が頼めば断らないだろ。後でルカたんに話しとく」
「じゃあお見舞いに行くついでに蛍にも話しとくか」
２人して名案だと笑いながら、残っていたクッキーをバクバクと平らげた。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
