６３: 匿って ページ13
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ハロウィンパーティーの準備に追われる学院は騒がしくて、いつもどこか楽しげな空気で満ちている。
昔は近所を回って騒いだなぁなんて物思いに耽るのも、秋の散っていく枯葉のせいだったりして。
ハロウィンパーティーを明日に控えて、学院内は豪華に飾り付けられている。ジャックオランタンやコウモリが壁を飾って、モノクロの床も相まっていい感じだ。
歩いているだけで楽しい空間に仕上がっている。
「すごいな〜、プロデューサーが考えただけある」
奏「だよね。こんな豪華なのって小さい頃以来かも」
「去年はそれどころじゃ無かったもんな〜」
去年の今頃、俺は長期に渡る海外留学へ発った。と同時に、抗争が最も激しくなりかけていた時期でもある。
去年の今頃から今年の春頃にかけて一体何があったのかは今でも把握しきれていないから、またいつか零にでも聞こうかな。
「なあ奏、明日のライブ………っちょっと」
奏「えっ？」
結局参加を決めたハロウィンパーティーについて話そうとした時、廊下の向こう側から数人の話し声がして立ち止まる。
声の主が分かった瞬間、直ぐそばの部屋へ奏を押し込んで扉を思いっきり閉めた。
翠「あれ、月永先輩…？」
千「Aっ！？どどどどうしたっ」
「悪い、ちょっと匿って」
たまたま入ったAV室には流星隊が揃っていて、久し振りに会う皆んなに軽く手を振ってからその人差し指を口元に持っていく。
尻餅をついたまま唖然とする奏に手を貸して立ち上がらせると、話し声が過ぎていくのをただ待った。
ピンと張り詰めていた空気が、自身のため息によってふわりと緩む。
「はぁぁ……ごめん皆んな、邪魔したな」
千「い、いや問題ないが、何かあったのか？あの話し声は天祥院だったが…喧嘩でも？」
「んーん。ちょっとな」
奏「何でもないなら押さないでよ」
不機嫌そうに頬を膨らませる奏に謝って、テキトーな椅子に腰掛けた。見回すと色々なDVDが散らばっていて、その１つを手に取る。
「へぇ。特撮、番組？面白いの？」
千「興味があるのか！？なら今から見よう！ほら南雲っ、高峯も仙石も座れ！」
鉄「うぅ、暑苦しいッス…」
あんまり乗り気じゃないらしい３人の腕を引っ張って隣に座らせると、千秋が嬉しそうな表情でビデオを再生する。
ビデオの内容は本当に定番だった。ヒーローが悪を倒す物語。
それでも俺はこれが好きになった。こんなかっこいい人になれたなら…と
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
