６１: 全員集合 ページ11
次に目を覚ますと、辺りの色はまだ変わっていなかった。身体を起こしてみると随分楽になっていて、時計を見ようとベッドから降りる。
カーテンを引くとそこには２人の先生が揃っていた。
椚「月永くん？また体調を崩したのですか…」
「ははっ、すみません」
佐「体調は？もう楽になったなら教室に戻ってもいいぞ〜。あ、でもうつしたら困るしなぁ」
空になったグラスを傾けて水滴を観察する佐賀美先生の言葉に頭を捻る。
「マスクでもして戻りますよ。熱は下がったらしいので。この薬効きますね、俺も買おうかな」
椚「特効薬の１つくらい持っておくべきかも知れませんね、あなたの場合」
「ははっ、耳が痛いです…」
時計を確認すると、ちょうどお昼休みが終わった頃。あんまり好きじゃないけどマスクを貰い、ゆっくり歩いて教室に戻った。
ーーー
「あーーマスク嫌いだ。ヤダ」
弓「お気持ちは分かりますが、どうか我慢してくださいませ」
「はぁ…ガキじゃあるまいし我慢するけど」
弓道着は着ないまま、制服で道場の隅っこに座っていた。今日は珍しくレオも来ていて、ここで匿っていた猫と戯れている。
その姿を写真に収めようとしたところで、道場の引き戸が開く音が響いた。誰かと思って見ると、司が花の咲いたような笑顔を見せている。
司「leader！今日はいらっしゃっているのですね…♪」
月「おっ、新入り。なんか遅かったな？」
司「日直の仕事が終わらなかったもので…遅れて申し訳ありません」
『新入り』呼びは突っ込まないのか、と思って笑い声を零す。律儀に謝る司がこっちを向いて目が合うと、納得したように頷いた。
司「なるほど、leaderがいるのは月永先輩がいらっしゃるからですか。月永先輩は…お風邪ですか？」
「あーうん。恥ずかしながら」
司「お大事になさって下さい」
微笑んでお礼を告げ、弓弦に支えられながら立ち上がった。レオの隣に膝をついて、猫の柔らかい毛を撫でる。
遊んでいると、突然引き戸が思い切り開かれる音がして肩が跳ねた。
蓮「すまんっ、遅くなった」
月「おおっ、ケイト！」
「お疲れ。別に急がなくても帰らないのに」
蓮「待たせるのは俺が嫌なのだ。……今日は部員が全員揃ったな」
弓道場をぐるりと見回して口角を上げる敬人に、早く上がれと促した。
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作者名：瑠璃烏 | 作成日時：2019年12月14日 3時
