91 夜明け ページ41
杏花side
眠れない…
いやまあこんな状況で呑気に寝ている人は蝶屋敷に1人も居ないけど。
妙な胸騒ぎが収まらず、ウロウロと部屋の中を歩き回っては時計を確認して…の繰り返し。
一度ため息を吐いて足を止め、花瓶の水でも変えようと棚の上へ手を伸ばした。
花瓶を持って廊下を歩き、井戸から水を汲み上げて花瓶を水で満たす。花を丁寧に生け直して部屋へ戻る廊下を早足に進んだ。
その間もずっと、胸騒ぎは収まらない。
部屋へ足を踏み入れて扉を閉めようと片手で花瓶を持ったら、手を滑らせてしまった。
ガシャンッ
その音が、妙に鼓膜を刺す嫌な音に聞こえて。
『此処にいちゃいけない』
本能が私にそう告げる。
此処に居てはいけない。Aの元へ向かいなさいと、本能が。
割れた花瓶もそのままに、自然と溢れてくる涙に困惑しながら蝶屋敷を飛び出した。
「杏花っ!何処へ行くの!?」
「お姉ちゃんが呼んでるの!」
「え…!?」
背後から聞こえたアオイに大声を返して、どんどん苦しくなっていく呼吸なんて気にせずに騒音の元へ走った。
ーーーAside
東から優しい光が登ってくるのが、無惨を押さえている今の体制でも分かった。
_____夜明けだ
もう終わる。全てが終わる。
鬼に大切な者を奪われた人々の恨みも憎しみもこの太陽の光がきっと全て消し去ってくれる。
「日陰に入らせるな!押さえろ!堪えろ!」
「があぁああぁあっ!!!」
「っあぁあああ"ああぁ!!」
隠の人も、隊士達も、全員が咆哮を上げて無惨を灼き殺そうと全力を尽くしている。
刀を持ち直そうとした瞬間、皮膚を灼かれる感覚に顔が歪む。
駄目だ駄目だ駄目だ
まだ、もう少し。
あと少しだけ…
「Aーっ!隠の者達と共に退路を塞げ!まだ消えるな!死ぬな!」
「ッはい!」
義勇さんに呼び掛けられ、灼けていく素肌を庇いながら、必死で車などを押す隠の人達の加勢に回った。
日陰に入るとその灼けた傷跡もゆっくりゆっくり回復していき、痛みも引いていく。
大きく息を吸い込んで、大声を出した。
「せーのっ!!」
「「「「うおぁああぁああぁあっ!!!」」」」
数多の叫びと共に退路は塞がれてゆき、無惨の体かボロボロと崩れ始めた。
ああ、もうお終い____
.
117人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - いちごぱふぇさん» (今更かよって感じですが返信させて頂きます(ー ー;))ありがとうございます!こういうチートキャラ的なの書いてみたかったので作者も楽しかったです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - ああもう好きです!!!!好きすぎて好きが止まんないですどうしてくれるんですか! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ゆりなんぽんさん» ぜひ拝読させて頂きます!改めて、最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年4月20日 22時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - manamimoon0511さん» ありがとうございます!楽しんで頂けたのなら本望です(´∀`*) (2020年4月20日 21時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
manamimoon0511(プロフ) - 凄く面白かったし素晴らしかったです!!ほんっとに有難う御座います!!!! (2020年4月20日 18時) (レス) id: 0aa1fe61f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃烏 x他1人 | 作成日時:2020年4月2日 10時