83 無限城 ページ33
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「無一郎、悲鳴嶼さんだ…!」
「合流するよ。それからはなるべく離れないようにしよう」
「分かった」
こんな状況でも冷静に指示してくれる無一郎を追いかけつつ、悲鳴嶼さんと合流した。
現時点で倒されているのは上弦の陸、参、弐。
私達が遭遇する可能性があるのは最悪の場合上弦の壱…
大丈夫だと自分に言い聞かせていた時、右から物凄い勢いで壁が迫ってきた。
と同時に、思い切り手を引かれて悲鳴嶼さんの方へ突き飛ばされる。
悲鳴嶼さんに抱き留められ、振り返った。
「時透!」
「無一郎!!」
「俺に構わず進んで下さい!」
悲鳴嶼さんの腕の中から手を伸ばしたけれど、凄い速度で迫って来ていた壁は無慈悲にも私達を引き裂いた。
どうしようどうしようどうしよう
無一郎と離れちゃった
この建物の構造も分かってないのに
飛び出して来たあの壁を切り崩してみる?それとも別の場所から回れないか探すべき?でもそれだと時間が掛かり過ぎるのでは?
頭が真っ白になっている私を、悲鳴嶼さんの声が引き戻す。
「継国!しっかりしろ、時透を探す!最悪の状況は時透1人で上弦の壱と鉢合わせている場合だ!急ぐぞ!」
「は…はいっ!」
肩を掴まれ揺さぶられて、ようやく思考回路が働き始めた。
今出来る事は何?
そんなのは決まってる。柱として大先輩である悲鳴嶼さんに着いて行くこと。
不安に苛まれて思い通りにならない体を何とか動かして、滲む涙はそのままにひた走った。
ーーー
やっと見つけた無一郎は、やはり上弦の壱と対峙していた。『最悪の場合』に完璧にはまってしまった…
更には胴に大きく切り傷をつくった不死川さん、そして弟である玄弥君は胴と腕がバラバラで。
『惨状』と呼ぶに相応しい余りにも惨い光景に顔を顰めていると、私と不死川さんを背後に立つ悲鳴嶼さんが冷静に指示した。
「不死川、腹の傷は今すぐ縫え。継国は玄弥と時透を戦える状態にしてくれ。その間は私が引き受ける」
「! …はい、すみません」
「は、はいっ」
言うが早いか、上弦の壱の攻撃圏内に入らないように天井近くまで大きく跳躍して無一郎の元へ着地した。
「無一郎!無一郎っ!ま…待ってて、今 刀をっ…」
「ぅぐ…っ」
刀は、体に刺さる時も痛いが抜く時も同じだけ痛い。傷口に擦れるからだ。
苦しげな声を耳にして泣きそうになりながらも、柱から刀を抜くため束を握って引っ張った。
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瑠璃烏(プロフ) - いちごぱふぇさん» (今更かよって感じですが返信させて頂きます(ー ー;))ありがとうございます!こういうチートキャラ的なの書いてみたかったので作者も楽しかったです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - ああもう好きです!!!!好きすぎて好きが止まんないですどうしてくれるんですか! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ゆりなんぽんさん» ぜひ拝読させて頂きます!改めて、最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年4月20日 22時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - manamimoon0511さん» ありがとうございます!楽しんで頂けたのなら本望です(´∀`*) (2020年4月20日 21時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
manamimoon0511(プロフ) - 凄く面白かったし素晴らしかったです!!ほんっとに有難う御座います!!!! (2020年4月20日 18時) (レス) id: 0aa1fe61f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 x他1人 | 作成日時:2020年4月2日 10時