82 緊急招集 ページ32
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水、雲、炎、風(仮)、雷、蛇
これで使えるようになった呼吸は全部で六つ。
蛇の呼吸に関してはやはり刀の形状が違う事もあり完璧な会得は難しかった。だから蛇の呼吸そのものというより、太刀筋や足運び等を参考にする、という感じ。
あとはカナヲに見せて貰った花の呼吸をもっと練習すれば更に攻撃の選択肢が増える。
今日の任務で試してみようかな…
と諸々の事を仏壇の前で独白し、閉じていた目を開いた。
任務に赴く前は祖父に手を合わせなければ落ち着かないのだ。次に帰って来られるか分からないから。
じっと遺影を見つめていると、無一郎に名前を呼ばれて振り返る。
「A、行こう」
「うん」
差し出された刀を受け取って、遺影の中で微笑む祖父に2人で声を掛けた。
「じゃあお爺ちゃん、行ってきます」
「行ってきます」
微かに火を灯す2本の線香の煙がふわりと揺れた。
ーーー
なんでなんでなんで
なんでこんな事になったの?
どうして…
緊急招集が掛けられ、焦って走りに走ったら目の前で爆発したお館様のお屋敷。
感情のままに刀を振ろうとした瞬間、足元に障子が現れてそれから…
「A!」
「!」
「しっかりして!ちゃんと見て!」
「ご、ごめん」
呆然としておかしな建物の中を走り続けていたら、目の前から迫ってくる鬼にも反応出来なかった。
ハッと我に帰り、無一郎によって斬られた鬼の残骸が消える前に、血溜まりに手を付けその血を体内に取り込んだ。(隣でギョッとする無一郎は気にしない事にする)
よし、大丈夫。思考を働かせろ。何が起こったのか把握しなければ何も始まらない。
緊急招集が掛かってお館様の元へ向かったらお屋敷が爆発した。という事はお館様はもう…
涙が出そうになるのを堪えて、障子から飛び出して来た鬼を斬りつける。
水の呼吸 肆ノ型 打ち潮
私達が今、倒すべきなのは
「鬼舞辻無惨…!」
鬼の始祖。不幸の元凶。塵ほどの誇りも心も持たない生ける災厄。
多くの人から幸せを、日常を奪った。
怒れ怒れ怒れ
怒りを力に変えろ。
そんな事を考えている時、信じられない言葉が耳に入ってきた。
〈胡蝶しのぶ死亡!上弦の弐トノ死闘ノ末死亡!〉
「嘘っ…!」
「……っ」
駄目だ、泣くな。
怒れ。ただ怒れ。
体を動かせ。
言い聞かせて、足元で開いた障子を飛び越えた。
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瑠璃烏(プロフ) - いちごぱふぇさん» (今更かよって感じですが返信させて頂きます(ー ー;))ありがとうございます!こういうチートキャラ的なの書いてみたかったので作者も楽しかったです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - ああもう好きです!!!!好きすぎて好きが止まんないですどうしてくれるんですか! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ゆりなんぽんさん» ぜひ拝読させて頂きます!改めて、最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年4月20日 22時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - manamimoon0511さん» ありがとうございます!楽しんで頂けたのなら本望です(´∀`*) (2020年4月20日 21時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
manamimoon0511(プロフ) - 凄く面白かったし素晴らしかったです!!ほんっとに有難う御座います!!!! (2020年4月20日 18時) (レス) id: 0aa1fe61f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 x他1人 | 作成日時:2020年4月2日 10時