74 おかしい ページ24
NOside
「おい時透、どうなんだよ?何か知ってんじゃねえのかァ?」
時透はその問いにすぐには答えず、自分を見つめる六人を見回す。
そして何かを考えるように俯き、胡蝶が口を開こうとしたのを遮るようにして漸く声を発した。
「Aは、鬼の一部を取り込む事で半鬼化出来る特異体質かもしれないってお館様は仰っていました」
「ンな事はもう知ってんだよ!そうじゃなくて他に何か無ぇのかって聞いてんだ!」
「僕は違うと思う」
時透の凛とした声で、部屋に静寂が訪れた。
『違うと思う』
どういう事なのかと全員が視線で訴えている。当の本人は「分からないけど」と前置きしてから躊躇いがちに話し始めた。
「鬼の血液が針状に固形化した物で傷を負って蝶屋敷へ運び込まれた事があったんですが…針が刺さった筈の場所に傷は無くて、ただ火傷みたいな傷が残ってたんです」
「刺さったそれが鬼が消えた事で液体に戻って体内に入ったから傷が治った…そう考えるのが自然では?」
「僕も最初はそう思いました。だけど、おかしいと思いませんか」
訝しげに眉を寄せて各々を見回す時透に、冨岡がハッとした様子で言葉を零す。
「傷口に鬼の血が入った…?」
「え?えっ?どういうこと??」
「傷口に鬼の血を浴びると、『一時的な鬼化』じゃなく『鬼になる』と思いませんか」
時透の言葉に、誰もが言葉を失った。
おかしい。変だ。
なぜAは傷口に鬼の血を浴びて鬼にならなかった?なぜ一時的な鬼化で済んだ?
誰も口にこそ出さないが、明らかにおかしい事だと誰もが気付いて頭を回転させている。
沈黙の帳を、再び時透の声が破った。
「僕は…Aは、もう半分くらい鬼になってる状態じゃないかと思っています」
「…? どういう意味ですか?」
「A、以前1人で下弦の肆を倒した後から傷の治りが異常に早いんです。任務で負った傷は1日か2日程で跡形も無く消える。どう考えても『人間じゃない』」
「確かに…」
「……憶測ですけど…Aは、_______」
納得出来そうで出来ない微妙な線引きの話に、誰の口からも言葉が出なかった。
他にも色々な疑問があるのだろうが、もう話し合うだけでは解決できない複雑な問題になってしまったのだ。
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瑠璃烏(プロフ) - いちごぱふぇさん» (今更かよって感じですが返信させて頂きます(ー ー;))ありがとうございます!こういうチートキャラ的なの書いてみたかったので作者も楽しかったです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年7月28日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
いちごぱふぇ(プロフ) - ああもう好きです!!!!好きすぎて好きが止まんないですどうしてくれるんですか! (2020年7月7日 20時) (レス) id: e2dd6d7f46 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - ゆりなんぽんさん» ぜひ拝読させて頂きます!改めて、最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年4月20日 22時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - manamimoon0511さん» ありがとうございます!楽しんで頂けたのなら本望です(´∀`*) (2020年4月20日 21時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
manamimoon0511(プロフ) - 凄く面白かったし素晴らしかったです!!ほんっとに有難う御座います!!!! (2020年4月20日 18時) (レス) id: 0aa1fe61f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃烏 x他1人 | 作成日時:2020年4月2日 10時