71 決着 ページ21
俺が怒鳴りつけてしまったあの日から、2日。
何の気もなく、ただ鉄朗がいるかもという期待だけを持って第3体育館へ向かった。
「！」
「げっ」
そこでバッタリ出会ったのは、今衝突真っ最中の月島くんで。
そのまま通り過ぎようとする背中に静かに声を掛けて呼び止めた。
「…そろそろ決着つけたいんだけど」
その言葉の余韻が消え去って充分な沈黙が流れた後
息を吸う、音が聞こえた。
少しだけ震えた声が、夜の帳に覆われたこの空間を、鼓膜を揺らす。
「カッコよくて強くて優しくて憧れずにいられない様な兄を持って、自分は何でも熟せる才能があって…」
「え…？」
「っ僕は今更昔のようには戻れない……だってあなたの兄は日向にいて、僕の兄は日陰にいたから！」
憎々しげに歪められた表情に、胸の内を抉られる心地がする。
ああ、月島くんはお兄さんの事が大好きなんだなぁ…と思う。
大好きだから、自分にとって最高にカッコいい姿でいて欲しかった。自分が目指すべき存在であって欲しかったんだ。
「生まれ持った才能があって、その才能を開花させられる場所があって、そこへ導いてくれる存在がいた！それに胡座をかいてあんたは僕に言っただろ！」
その口から放たれた言葉は、確かに身に覚えのある言葉で。
『使えない人は選ばれない』
「あんたは良いよね、だってあんなにカッコいい兄に憧れて純粋な気持ちでバレーに命を捧げられるんだ。でも僕はっ…
「月島ぁっ！！」
捲し立てられる言葉を遮って、大声で名前を呼んだ。途端に驚いた様子で固まった月島くんの胸倉を掴み上げ、思い切り睨みつける。
「あの時、俺が酷いことを言った……それは認めるよ。完全に俺に非がある。でも一つだけ訂正しとく」
襟を掴む手に、力が篭る。
「俺がバレーを改めてちゃんと始めたのはな、憧れたからじゃない。兄さんの事が妬ましくて仕方なかったからだよ！」
そう言った瞬間、いつも冷静で色を変えない瞳があからさまに驚愕の色を滲ませる。
「俺には才能がある。センスもある。バレーをしていくのに充分な能力がある！なのに俺は病弱で、兄さんは健康で！
そんなの妬ましくないわけねぇだろうが！
だから超えてやろうって思ったんだよ…俺の方が能力が上だって証明してやろうと思ったんだ！」
そうだ。
俺がバレーを本格的にやろうと思ったのは、あの時。
確かな憧れと焦燥、妬みや羨望を覚えたあの時___
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瑠璃烏(プロフ) - justice swordさん» やっとか〜っ！って感じです！欲を言えば家の大きなテレビで見たいんですけどね…(¬_¬)見られるだけ有難いんですけどね。今から待ち遠しいです！ (2020年8月26日 9時) (
レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
justice sword - 瑠璃烏さん» ですよね！いい終わり方だけど、もう少し見たい気持ちもあるんですよ…そう言えば知ってます？10月から第２クールやることを。 (2020年8月25日 20時) (レス) id: ba2c8d8630 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - justice swordさん» ありがとうございます( ；∀；)ハイキュー完結しましたね！綺麗に終わってくれて嬉しい気持ちもありつつ、ずっと読んできた身としては感慨深いです…！ (2020年8月2日 18時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
justice sword - 瑠璃烏さん» それでも大丈夫です！少しずつでも更新してくれることが僕たち読者の嬉しいことですから。 (2020年8月2日 15時) (レス) id: ba2c8d8630 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - アンさん» ありがとうございます！梅雨のせいもあってか体調崩し気味ですが…(*´-`)出来る範囲で頑張って更新していきます！ (2020年7月15日 20時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑠璃烏 x他1人 | 作成日時：2020年2月11日 18時
