32 偶然 ページ32
「……A？」
「え…徹？」
夜、徹と岩ちゃんといつも遊んでいた公園のベンチに座って星を眺めていると、聞き覚えのある声に名前を呼ばれた。
「何してんの？もう暗いけど」
「そっちこそ」
何となく、と笑いながら歩み寄ってくる徹に隣を開ける。
「……徹お前なんであんなに強くなってんの」
「努力してたんですー」
「飛雄から聞いたよ、中学のこと」
そう言うと徹は驚いたように固まって、段々と眉間に皺を寄せる。
「…あのクソガキ……！ちょっと、真面目に受け取らないでよ？」
「別に何も言ってねーじゃんw」
その中学のことについて語らいつつ、空を見上げて星を眺める。丁度２人して笑った瞬間、大声で名前を呼ばれた。
「A！？こんな所に…！試合があった日は１人で外に出ないでって言……あ、こんばんは。お友達？」
「こんばんは。えっと、Aのお兄さん…？」
「そう。兄の宇内天満。こいつが及川徹。小学生の頃よく遊んでくれたって話した奴」
それを聞いて兄さんは優しく目を細める。歩み寄って来て、何をするのかと思ったら徹に頭を下げた。
俺も徹も驚いて顔を見合わせ、徹はオロオロと声を掛ける。
「あ、あの」
「ありがとう、Aとバレーをしてくれて。そのお陰で今Aはバレーが出来てるんだ」
「ど、どういたしまして…？」
言っている意味を理解してグッと黙り込んだ。確かに、今バレーを出来ているのは徹と岩ちゃんがあの頃遊んでくれたお陰だ。
あの時にバレーの楽しさを知らなければ、わざわざ東京まで治療や手術など受けに行かなかった。
バレーがやりたくて、頑張ったんだ。
「…ありがとう。今更だけど」
「いやまあ、よく分かんないけど良かった」
話してないのかと問うように俺を見てくる兄さんから視線を逸らすと、苦笑して徹の方を見る。
「じゃあ、気をつけて帰ってね。送ろうか？」
「いえ、大丈夫です。じゃあA、また明日ね〜」
「おう、おやすみ」
ひらり手を上げて去って行く徹を見送って、俺たちも帰路についた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 242人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃烏(プロフ) - 麗さん» 本当だ！！！コメントに気付くのが遅れ申し訳ありません！まさかこんな間違いがあるとは…！ご指摘、有難うございます。 (2020年11月6日 13時) (
レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 猛虎です。武虎になって別人が出来上がっていらっしゃいます。 (2020年8月25日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 龍之介です。龍之助ではないです。 (2020年8月25日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
幸ぴろ - 瑠璃烏さん» 続編!？やったぁ！嬉しいです！ (2020年2月10日 7時) (レス) id: ba2c8d8630 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃烏(プロフ) - 幸ぴろさん» 典型的な��落として上げる��方式ですね(w)続編いきますので、まだまだお楽しみ下さい！ (2020年2月7日 19時) (レス) id: c14d105dae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑠璃烏 x他1人 | 作成日時：2020年1月17日 3時
